2014年10月23日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #178 “特別編”『試合前練習 その3』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「試合前練習」その3(解説:畠山 健介)
ウォーミングアップとしての当日の試合前練習は、試合直前なので当然気合いが入っています。チームによって違うウォーミングアップをすると思いますが、最初からテンポを上げていくチームもあれば、徐々にゆっくり上げていくチームがあったり、チームの個性がそこには出ると思います。サントリーのフォワードは、ラインアウトを5本やって、スクラムを1回セットアップして、1回組み合うぐらいです。あとはチーム全体で合せることの方が多いですね。
ここでは試合前だから自然にスイッチが入りますが、更に試合の前の日にどう準備するかも、とても重要だと思います。シーズンが深まってくれば疲れも出てくるでしょうし、疲れている時にどういう動きが出来るかというところがポイントになります。そんな前日練習についてもちょっとお話ししておきます。
前日の試合前練習では“確認”することに気をつけています。次の試合で「何をするか?」が明確になっているのでその確認と、フォワードがどう動くか、バックスとどうリンクするかということを確認します。後はフォワードではスクラムとライアウトの細かいところのチェックをします。基本的に激しい練習をする日ではないので、ブレイクダウンなども相手をつけないですが、そういう中でも高さ、低さを意識してやっています。ブレイクダウンに何人入るのかという人数とか、サインプレーでどう動くのかなどを確認しています。フォワードはその後スクラムやラインアウトをやりますので、やることは結構多いかもしれません。
練習をリードするという意味では僕に関しては声を出すだけで、ブレイクダウンに関しては隆道さん(佐々木)がいるし、ラインアウトであれば太一さん(田原)、篠塚さん、辻本もいますし、スクラムに関しては小澤に任せて言わせるようにしています。それぞれのリーダーがいますし、いっぱい情報を与え過ぎてもみんな、処理しきれないと思うので、何をするということをキーワードで確認して最終チェックするという感じです。
例えばスクラムだったらキーワードは2つぐらいあって、そのうちのひとつが「高さ」です。サントリーは低くて良いスクラムを組みたいので、「低さ」という部分を常にどの相手でも自分たちが出せるように意識しています。それを常に言っていても、試合になったりすると意識出来ないんですよね。だからこれは口を酸っぱくして言い続けるしかない。同じことを何回も言っていないと、結局出来ていないことが多いんです。
前日練習がどうしても良くない、という時もあります。集中していないということとは別問題で、何か今日うまく行かないなという時もなくはないです。そういう時はもう切り換えるしかないですね。今日はこれで良くなかったけれど、「明日は!」と切り換えるしかないです。そこでジタバタして新しいことをやろうとしても時間もないですし、混乱を招くだけですから。逆にこれで、やることハッキリしたね、と切り換えるぐらいの方が良いのではないかと思います。
15人全員そしてチーム全体が集中していると、良い試合前練習になると思いますが、1人でも集中出来ていないと、どっかで歯車がくるっていきます。声が出てないなぁと思った時は、基本的には自分から声を出すようにはしますが、それでもなかなか盛り上がらないなぁという時には、若い奴に無理やり声を出させたりとかしています。