2014年10月14日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #176 “特別編”『試合前練習 その1』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「試合前練習」その1(解説:宮本 啓希)
スターティングメンバーとリザーブメンバー、試合前の練習ではやることは一緒です。ただスターティングメンバーがメインになるので、ユニットの練習、アタックの練習、最後にタックルという練習があるんですが、例えばアタックの練習の時にはディフェンスにリザーブのメンバーが入ります。広いスペースを使ってやる訳ではないので、ディフェンスは全部揃いませんが、リザーブメンバー7人ぐらいでディフェンス役をやる形です。
試合前練習の時間は全体で20分ぐらい、場所は各試合会場によって違います。例えば秩父宮ではラグビー場に隣接したテニスコートで練習していましたが、今年からそこがなくなりましたので今はグラウンドでやっています。グラウンドのインゴールです。人それぞれでしょうが、僕はグラウンドでやった方がいいですね。試合を実際にやる場所で練習した方が、試合に入る時にスッと入れます。
試合前練習で重要なところは、“準備”なので、そこまで1週間やってきたことをもとに、最終の準備を自分の中でするということと、キックオフの時に100%出せる状態に持って行く気持ちと身体にする、ということです。チームのアップ自体、いつもやることは決まっています。そして最初からガッと入っていく感じです。この時はもう気持ちが完全に入っている状態ですね。
練習が良かった時は、良いイメージで試合に入れます。例えば練習での最初のボールタッチを落としてしまったり、それが続いたりすると、イメージが悪くなります。そこで引きずったらゲームでもダメなので、もしそうなったとしても、それを忘れるようにしますし、もともとそうならないようにします。たまに試合前練習で怪我してしまう人がいますが、怪我自体は不可抗力なので仕方ないですが、やっぱり怪我したらダメですよね。
個人個人ですが、練習が始まるまでに、ボディプレップ、例えばストレッチだったり、お尻に刺激を入れていたり、ちょっと筋肉をパンプアップしたりしています。実際にパンプアップするためのステーションも用意されています。お尻に刺激を入れるのは、ランニングする時にお尻から力を持って行くからです。
試合前練習でやることは変わらないので、自分の意識だけの問題ですが、僕の場合は“一定”です。一定にするために、いつも同じようにやっています。例えばこの前の試合では30分前に動き出したのに、今回の試合ではそれが10分前だとバタバタしますよね。そういうことをせずに、毎回同じようにすることが大事です。チームでも同じようにするということも重要だと思います。
チームの20分間の練習の前に、自分でウォーミングアップするという10分間のインディビジュアルタイムがあります。それをした後に「集合」と声が掛かってチームでの練習を20分間行うということです。終わった後はちょっとですが、バックスでキックを蹴りたいとかフォワードでコンタクトをしておきたいとかがあれば、1本、2本、やる人はいます。何もない人は、すぐに上がります。
基本的には試合用のスパイクで練習していますので、ロッカーに戻ってウェアを試合用に着替えて、テープを巻きなおすひとは巻きなおしたり、トイレへ行ったりですね。基本的にはドレスチェンジする時間です。最後にキャプテンを中心にハドルをして、バッとロッカーを出て行きます。