2014年9月16日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #170 “特別編”『コイントス その2』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「コイントス」その2(解説:竹本 隼太郎)
トスに勝って選択権がある場合、どう選ぶかというのは、かなり戦術的な判断になります。風向きがとても重要です。例えば風がもの凄く強く、相手の方が実力的に上だとすると、前半に勝つことを考えないといけないと思います。前半に勝たなければいけないのに、アゲインストの風が吹いていたら不利なので、一般的には追い風のエリアを選んだ方がいいと思います。これは考え方ですからチームによって違って、前半は我慢しながら気持ちで戦って、後半は優位に攻めるんだという考え方もあると思います。
ある程度、風が吹いていて、キックを使う戦術であれば、風上の方が圧倒的に有利です。ボールの伸びが違い、陣地の稼ぎ方が違いますから、フォワードは楽になります。風向きは肌で感じることもありますし、分からない時は指を舐めて、風がどちらから吹いているか感じとる場合もあります。芝も投げますね。
旗も見ますが高いところにあるので、そこでの風向きとグラウンドでの風向きが逆の時もあります。天気予報でだいたいの風向きが分かっていますので、それを参考にして選択します。スタジアムの東西南北はもちろん把握していて、コーチも確認してくれています。
例えば秩父宮である方向から風が吹いていて、その通りに選ぼうとしていたんですが、「いや、予報では逆の風向きなので、これから逆に吹く風になる」とコーチに言われて、逆を取ったことがあります。それで前半、風上に立てて、後半になったら風向きが変わって、また風上に立てた、ということもありました。ラッキーですが、ちゃんと事前準備をしていたからこそのケースです。
その日の朝起きてゲームウォークスルーの時に、風はこっちから吹いているとか、コーチ陣と話したりします。そして現場へ行って着替えて、グラウンドへ出て風向きを確認します。そしてもう一度、監督、コーチと話をして、「やっぱりこっちですね、出来るだけこっちの陣地を取ります」なんていう話をします。
<つづく>