2014年8月26日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #167“特別編”『試合会場到着 その2』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「試合会場到着」その2(解説:日和佐 篤)
ドレスチェックの後は、チームミーティングになります。監督、キャプテン、フォワードやバックスのリーダーがその日のポイントを喋ります。それからウォーミングアップ場へ行って、アップを始めます。暑い日はだいたい20分ぐらい、涼しくなると25分ぐらいでしょうか。全体でのアップ前に個人個人の準備を含めて、長くて30分ぐらいですね。
アップの内容はいつも決まっています。試合会場でのスケジュールは全体でもルーティーンを大事にしているので、アップのやり方もいつも同じです。ハドルは練習中、3回組みます。バックスとフォワードに分かれて1回、全体で1回、さらにもう1回、練習の合間合間にやります。
アップを通して静かな時もあります。例えばビッグゲームになると静かな時もあります。静かなので盛り上げるということもあって、誰かが自分の中に閉じこもっていたら、「周りに共有しましょう」「出していきましょう」という話をします。気合が入り過ぎてガーッとなっている時には、「まぁまぁまぁ」と(笑)。どっちが多いということでもなく、半分ずつぐらいではないかと思いますが、凄く良い時もありますよ。
アップは試合開始10分前ぐらいに終わります。そこからロッカーへ戻って着替えます。アップシューズで練習している場合はスパイクに履き替え、そしてジャージを着ます。マウスピースを付けて、各自の時間を2~3分ぐらい持ちます。その後は皆で1人ずつ握手をしていきます。「頑張りましょう」という握手を全員とします。それで円陣を組んで、監督が話して、キャプテンが話して、Go! ですね。
僕はあまり長いことスイッチを入れていたら疲れてしまうので、アップの最初ぐらいから少しずつスイッチを入れて、スタートの時に完全にスイッチオンという状態になります。アップでたまに怪我をする選手がいるのですが、いまはサポートメンバーという選手が2人、フォワード1人とバックス1人がいますので、アップでの怪我で出られない選手がでたら、そのサポートメンバーが代わりに入ります。
試合前にはバランスに気をつけています。熱くならなければいけないフォワードがいて、冷静で客観的にならなければいけない9番、10番、15番そして2番。全体としてその場面場面でバランスを取るということですね。上位チームと当たる時には気合が入り、殺気立ったりして、悶々としています。
試合前で思い出に残ることと言えば、2010-2011シーズンの竹さん(竹本隼太郎)。第10節、当時の三洋電機との試合で、アップが終わってロッカールームに戻ってみんなジャージに着替えてスパイクを履いて、円陣を組んで気合を入れて、キャプテンの竹さんが「行くぞー!」って言ってロッカーを出て行く時でした。その時に竹さんがスパイクに履き替えていなくてアップシューズだったんです(笑)。「おいおいおい」「ちょっと待てよ~」みたいな(笑)。それでチーム全体が凄くリラックスできたのが良かったのか、その試合は勝ちました(サントリー17-15三洋電機)。
<了>