2014年8月12日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #166 “特別編”『試合会場到着 その1』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「試合会場到着」その1(解説:日和佐 篤)
最寄りのホテル、例えば秩父宮ラグビー場で試合の時には、都内のホテルからタクシーで試合会場に行きます。地方での試合だとホテルからタクシーか大型バスで行きます。試合開始1時間半前ぐらいにホテルを出て、だいたい15分ぐらいで着くので、1時間20分~15分前ぐらいに試合会場に着きます。
試合会場に着くとロッカーへ行きます。ロッカーには1番から23番まで番号が振ってあるので、自分の背番号のところへ行って座ります。そこからは各自が自分のルーティンで試合に向けた準備をします。僕の場合は前日にスパイクを磨くのですが、その時にスパイクの紐も取ってしまいます。紐が切れてないかなど、紐の状態を見るためです。ですので、その紐を、試合当日のこのロッカー到着時に通します。
スパイクのポイントは、雨が降っていたり、地面の状態が悪かったら長いポイントを使いますし、グラウンド状況が良かったら固定のポイントのスパイクを履きます。ですので、スパイクは2足から3足用意しています。それらにすべて紐を通します。だいたい「試合で何をするのか」ということを復習しながら紐を通します。
その後、各自、スクワットをするなどパンプアップ(筋肉に負荷をかけて筋肉を膨らませる)をしたり、スピードトレーニングをしたりなど、試合の準備に入っていきます。それは広場など、少しスペースがある場所で行います。これらは試合のアップ用のTシャツを着て、アップシューズでやります。
その後にはキャプテンがコイントスから戻ってきて、ロッカーにレフェリーがやって来て、ドレスチェックがあります。レフェリー、タッチジャッジ2人、アシスタントレフェリーの計4人が来ます。その時にレフェリーはその日の注意事項を話します。レフェリーによって言うことは様々ですが、レフェリーとして厳しく取る反則があって、例えば「ここを重点的に見ています」ということをその場で言われたりします。
どちらかというとオフェンス側が有利に笛を吹くレフェリーと、ディフェンス側が有利に笛を吹くレフェリーとがいますが、オフェンス側に有利に吹く人からは、「ノットロールアウェイを取りますよ」「しっかりゲートを通りましょう」とか、ディフェンス側に有利に吹く人からは、「オフェンスの選手が寝ていたら、ノットリリースザボールを厳しく取ります」という話があったりします。
実際レフェリーとしては試合をまとめたいので、最初の10分から20分にペナルティーを取る傾向にあると思います。「ここはだめ」「ここは良い」ということを、最初の10~20分できっちり見せるという感じです。そういうことに「選手たちは反応して下さい」という話をされます。
ドレスチェックは5分ぐらい、チーム全体に向けて話すのは1分ぐらいで、あとはフロントローを集めてスクラムの話をします。そこに僕も加わりますが「9番、ボールを真っ直ぐ入れましょう」とか、「クイックのフリーキックはスクラムの後ろで見えるように行ってください」と言われたりします。
ドレスチェックとしてはスパイクの裏のポイントが尖っていたり、爪を見たりして、危険がないようにレフェリーは注意します。この時に引っ掛かることは、ほとんどありませんが、明らかに爪が伸びていたりしたら「切ってください」と言われたりします。サポーターやテーピングをチェックしたりもします。
<つづく>