2014年4月17日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #152『シャローディフェンス』
サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
「シャローディフェンス」(解説:金井 健雄)
ディフェンスラインを早く上げるディフェンスの手法です。チームによって多少違いますが、ディフェンスの人数を攻撃して来る相手に合わせるために、しっかりと広がってセットして、接点からボールが出たら一気に前に出て間合いを詰めて、相手に対して1対1で、しっかり捉えにいくプレーです。
全員が一気に前に出ていきますが、人数が揃っていない時に前に出てしまうと、相手の人数が余ってしまうので、基本的には人数が同じかディフェンス側が多い時でないと、シャローディフェンスは出来ません。
1人だけ飛び出したり、外側の2人だけ前に出たりというディフェンスをするチームもありますが、それは選手個々が判断して行うディフェンスであってシャローディフェンスではありません。シャローディフェンスはチーム全員が同じ意思で行うディフェンスの方法です。
基本的にはディフェンスがタックルで優位になっている状態が望ましくて、まずは1人目が良いタックルをして、素早くラインをセットして一気に前に出る、そこまでの一連の流れを良い形で作りだして行うチームプレーです。
1余り、2余り(相手に対して1人足りない、2人足りない)などの状態ではシャローディフェンスは出来ないので、その場合はあまり前に出ないでドリフトディフェンスをして、相手がパスをしたらそれに伴って外にずれていくようにディフェンスします。
シャローディフェンスで難しいところは、全員がしっかり出る、というところです。この状態になったら、基本的にはディフェンスは優勢になるので、それほど心配はありません。全員が出ることだけ、意思統一が出来れば大丈夫です。
その前の状態でボールを出されたりするのが、ディフェンス的にはいちばん乱れているというイメージです。コミュニケーションが取りきれていなくて、全員がちゃんと出ない場合には、どこかにギャップが出来て、そこに入り込まれる危険があります。
ブレイクダウンに勝っている試合では、常にシャローディフェンスがセット出来ているでしょうし、ブレイクダウンに負けていると、すぐに球を出されてしまうし押し込まれていて、バラバラになりやすいということです。
チームによっては、前に出ないチームもあります。一気に出て行くとすれ違いが起こる可能性もある訳で、あるいは裏がすぐに空くということで、あまり前に出てこないチームもありますが、そうやって待っていると、差し込まれやすくなります。
人数が合わない時には、位置ずれの形を取ります。外で1枚足りない場合は、それほど気にならないこともあって、思いっきり相手に余られていない限りは出ていくことが多いです。
シャローディフェンスは前に出るタイミングと選手間の幅、間隔が重要です。ボールが出たタイミングで出ることと、しっかりとした立ち位置にいることが重要です。前に出てもそれがずれていて、ノミネートする相手を間違えているなんてことになると、前に出ても相手が余るという状態になってしまいます。ですからこのプレーは充分な練習、連携が必要です。