2013年3月 5日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #037 『ラインアウト』
サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
「ラインアウト」(解説:篠塚 公史)
ラインアウトとは、ボールがタッチラインの外に出た後に、ゲームを再開するプレーです。自分も参加しますが、マイボールの場合は、まず何人並ぶかを決めて、次にスタンドオフとコミュニケーションをとってバックスの動きのサインを決めて、そして並んだあとに相手のディフェンスを見てどう動くか考えて、どういうオプションを使うか決めて、最後にサインをコールします。チームはコールに従って動き、ボールを取って次のプレーに繋げるという流れになります。逆にディフェンス側は相手と同じ人数で並ばなければなりません。多くても少なくてもいけません。それから相手の並び順などを見て、どこに投げてくるのかを予測してボールを奪うチャレンジをします。また、試合が始まる前から、相手チームの試合を見てラインアウトのプレーの癖やサインのコールを研究したりするところからラインアウトの戦いは始まっています。
僕が新人の時はサイモン・メイリングという元オールブラックスの選手がサントリーのコール役をしていました。僕は3年目からコール役をするようになりました。ゲームプランの一例として、ラインアウトの人数を少なくする場合もあります。そうするとバックスのラインにフォワードがたくさん加わることが出来るので、相手にフィジカルなダメージを与えるという狙いがあります。いろいろな駆け引きがありますが、ラインアウトは難しいですね。
コールの時にいろいろ考え過ぎてしまうとダメです。基本的にテンポよく、ラインアウトに入ってすぐ跳ばないと、ディフェンスが有利になってしまいます。なぜかというと、時間が経つとディフェンスがコミュニケーションを取れるようになってしまって、誰が誰を見て、誰をボールが越えたら誰を見ろ、ということが決まってきてしまうので、基本的に攻める方としては、並んですぐ跳ぶのがいちばん良いと思います。ですから並びに行くところからコールを考え、並び終わる時にはもうコールを決めていることがほとんどです。
コールは数十種類あります。基本的にアタックが有利です。だいたい並んでいるエリアが3つに分けられて、スロワーから見て手前(近く)と、真ん中と、奥(遠く)で、ディフェンスが2人跳ぶ準備をしていたら、例えば前と後ろと決めて跳んでくるので、そこに引っかからないようにしたいのですが、ある意味でコールはギャンブルですね。
2つのチームの間は1m空いていて、その真ん中に投げたらボールを取れる確立はイーブンになるので、その1mの範囲内で、できるだけ自分のチームの方に寄せて投げるんです。この1mの間をボールが通っていれば、ノットストレートの反則にはなりません。並ぶ場所はいちばん手前の選手がタッチラインから5m離れたところ、いちばん後ろは15mです。その後ろのラインを越えたら、ラインアウト解消となります。また、バックスは両チームともラインアウトの並んだところから5m下がった位置がオフサイドラインになります。
ジャンパーがボールを取って着地した瞬間から、ディフェンス側はボールを持った相手を倒しても良いのですが、空中にいる間に引っ張ったり押したり、相手がモールを組んだのに倒したりすると、ペナルティ(反則)になります。
ラインアウトで嬉しい時は、試合で一度もミスせずに、全てのラインアウトを取った時ですね。他にはディフェンスで相手のボールをカットした時、「やった!」という気持ちになります。