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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2013年2月19日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #033 『セブンズ』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「セブンズ」(解説:成田 秀悦)
 
7人制ラグビーのことです。「セブンス」と言う人もいますが、正式には「セブンズ」です。学生の時にはやる機会がありませんでした。今の若い選手たちはあるかもしれませんが、僕の時にはなかったので、「7人制代表になりたい」という気持ちもありませんでした。社会人1年目の終わりに、村田さん(亙)がセブンズ代表監督に就任した時に初めて選ばれました。サントリーの誰かが取材を受けた号のラグビーマガジンがクラブハウスに届いて、それを見せてもらっていたら、その中にセブンズ代表メンバーの記事があって、そこに自分の名前を見て知りました。それまでは全く知らなくて「あれ、俺入ってる!」という状態で驚きました。
 
その時、香港とオーストラリアにセブンズ代表として行って、初めて試合をした相手が南アフリカでした。結果は負けたんですが、僕は手応えしかなかったです。「思った以上に抜けるな」とか、「名前負けしないで勝負したら、意外と個々でもスピードで勝てる」とか、「ステップを踏んだら抜ける」という感覚がありました。最初は手応えしかなかったです。それを始まりとして6年やっていますが、今年11月のワールドカップ予選に勝って、ワールドカップの出場権を獲得しました。
 
僕が最初に代表チームに入った1年目は、1勝も出来ませんでした。カナダにも負け、アジア圏内でしか勝てないという状況でした。キヨさん(田中澄憲/広報兼彩用)やザワさん(小野澤宏時)、有賀さん(剛)とか、セブンズ経験者に過去の話をいろいろと聞いていたので、「僕らは相当弱いチームだなぁ」とずっと思っていました。
 
だけれど、それからいろいろ経験して、香港セブンズでもトッド(クレバー/前サントリー/現NTTコミュニケーションズ)のいるアメリカ代表を破ったり、スコットランドに1999年以来の勝利を挙げたりと、だんだん世界とは差が縮まっていると思います。

 
僕が社会人1年目の時には“セブンズ代表”と言っても、周りの人も含めて興味が湧くなんていうことはなかったですし、「7人制をやりたい」と言う選手もいなかったんですが、オリンピック競技(2016年リオ大会~)に決まって、みんなが注目するようになって、それに向けて強化が始まり、だんだんセブンズにもみんなの力や注目が集まってきたんだと思います。
 
そのことは日本だけではなくて、この前に行ったワールドカップのアジア予選でも感じました。他の国のチームもだんだん強くなっています。今まで日本が50点も60点も取っていたフィリピンに、ギリギリ5点差ぐらいでやっと勝つような結果で、フィリピンも初めてワールドカップへの出場権を取りました。日本の豊田自動織機でプレーしたローワン・パーティーという香港の選手と話したんですが、明らかに15人より7人制に力を入れていて、メンバーがガラッと変わって、香港は15人の代表の選手が全員、7人制に来ていました。
 
セブンズで僕が1日にいちばん多く試合をした時は、4試合やりました。11月のワールドカップ予選でも、1日目に3試合、2日目も3試合やりました。前後半7分ずつですが、これが1日3試合あると、何回もアップして、試合をして、アイスバスに入ってリカバリーをして、またアップして、というルーティンを何回も繰り返すんですが、それが結構大変なんです。きついと思いますが、でもやってますから、なんとかいけます。
 
セブンズの面白さは、スピード感じゃないですかね。ボールが速く出たり、個人の能力が特に発揮されますし、僕も1対1だったら勝負出来る自信があります。セブンズをやって日本に帰って来て15人制の試合に出ると最初は「スペースないなぁ」という感覚になります(笑)。「スペースこんなに狭いんだっけ?」って。15人制は15人制で楽しいですし、良い感じでもらった時に抜けたりできて面白いんですが、セブンズはスペースがあるので、とりあえずボールを持てばほとんどの場面で勝負出来るし、僕はそういうところが魅力だと思います。まだオリンピック競技として正式にスタートした訳ではないので、これをスタートとして、何年後かにもっともっと日本でセブンズが発展して、強化されていったら面白いんじゃないかなと思います。

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