2013年6月 4日
「中年サンゴリアス」その17 山岡俊『まだまだ強くなる』
こんな少年がラグビーを通じて立派な大人になったというのが「少年サンゴリアス」ならば、サンゴリアスでのラグビー人生を通じて得たものを仕事人生にどう活かしているかというお話を聞くのが新コーナーの「中年サンゴリアス」。中年と呼ぶにはまだ早いメンバーも含め、OBたちの変わらぬラグビー愛や職場での様子を語ってもらいます。
中年サンゴリアス◆山岡俊◆まだまだ強くなる
サントリービア&スピリッツ株式会社 埼玉支店 営業二課
1999~2011年度現役
■スピーディーになる部分と泥臭くやる部分
選手を引退して2年目ですが、チームを離れてから試合を観に行ったりすると、「凄いな」と思います。自分も1年ちょっと前にはやっていた訳ですが、同じことをやれと言われたら、相当気持ちを入れ込まないと出来ないなと思うほど、それだけ凄いことをみんなやっているなと感じます。
自分もハードワークはしましたが、でもコンディショニング重視の"オジさんパターン"と、"追い込むパターン"がその時にはあったので、そこはやれる範囲でハードにやりました。僕がサンゴリアスに入った時も、ちょうど東日本リーグと全国社会人の予選で負けてトーナメントへ行けない状態の年で、2年目に土田さん(雅人)が監督になって、ガラッとスタイルが変わりました。しんどい時もありましたが、強い時は当たり前のことかもしれないですが、みんながそうやってハードに仕事をしてきた時に成果が出るんだと思います。
エディーさん(ジョーンズ)に代わった時も、ベーシックをどんどん上げて行きましたが、僕が辞める1年前より辞めた年、そして去年と毎年より良くなっているし、選手1人1人が成長しています。そこの積み重ねが出来てきていると思うので、いまの強さは本物だと思います。出ている人間だけじゃなくて、周りの人間も高いレベルが当たり前という感じで、そこがやっぱり強さなんだと思います。
フォワードについては、セットプレート、フィールドプレー、フィットネスそれぞれレベルは高いところにあると思いますが、相手チームからすれば、ここは崩せるというところはあるでしょうし、まだまだレベルを上げられるポイントは幾つもあると思います。とくに僕らの時はセットプレーにこだわってやっていたので、そこはもっともっとレベルは上がるだろうなと感じています。そういう選手も揃っているし、そこのレベルが上がったら、まだまだ強くなるんじゃないでしょうか。
ラグビーの根本的な魅力は、体をぶつけ合うところにあると思いますが、どんどんレベルが上がっていますし、見ていてボールがよく動くところに、とくにうちのチームの魅力を感じます。そういう日本のラグビーのスタイルを、うちが作っているような気がします。よりスピーディーになる部分と、体をぶつけ合う泥臭くやる部分、その1つ1つがレベルが高くて、OBとしても「面白いな」と思います。自分自身は最近まったく体を動かしていませんが(笑)、一緒にやった仲間に会う度に、ラグビーの良さを感じます。
■サントリーファンになってもらう
仕事はいま、埼玉支店で業務用の部署で、メインは酒屋さんを担当しています。そこが取引している飲食店さんも廻りますので、飲む仕事も結構多いですね。埼玉県は南の方はサッカーが中心で、北の方へ行くとラグビー中心になりますが、スポーツにはみなさん敏感で、僕の体を見て「何かやってた?」と言われることもあります。「ラグビーをやっていました」ということで、コミュニケーションツールとして、ラグビーをやっていたことが活きることもあります。
僕らが会社に入って来た時と比べて、いまはサントリーとして武器になる商品がたくさんあるので、そこは変わってきました。先輩方が築き上げてきてくれたものを、みんなで伸ばして行くというタイミングだと思います。うちの商品を飲食店さんで取り扱ってもらうために、例えば他社のビールからうちのものに変えてもらうなどにトライをして、結果そこで「やりましょう」と握手出来た時が、いちばん我々が仕事をしていて嬉しいところだと思います。そのためにどうして行くか、ということをいろいろと考えてやっています。段階を踏んでやって行く場合もあるし、ダイレクトにぶち当たる場合もありますが、そういうところにはラグビーの経験が自然と活かされるのかなと思います。
うちの支店長もラグビー部OBなんですが、よく「ファンをつくれ」と言われます。それは自分個人のこともあると思いますが、サントリーファンになってもらうということだと思います。もちろん他社からすれば、うちのビールを扱っている飲食店さんが逆にターゲットとなりますから、ディフェンスしなかったら攻めることが出来ません。ですからディフェンスでも関係をつくるというか、ファンづくりが大切になってくると思います。そこがないと先へ進めません。ですからファンをもっともっと増やしたいですね。そして新しいところへも攻めて行くということだと思います。
仕事面では先に会社の現場に戻った人間としては、将来的には後から来るサンゴリアスの後輩を呼べるぐらいの場所をつくっておきたいな、そこまでやらないといけないなと思っています。そしてラグビー面では僕らが想像する以上のトレーニングをしていると思いますが、何年も出来るものではないのでラグビーに全力でチャレンジしてほしいと思います。また会社あってのラグビーなので、みんなに応援してもらえるクラブということを考えて、ふだん時間は短いですが、会社へ行った時もお客さんに対しても、その両方に真剣に取り組んでいる姿勢を見せてくれればと思います。