2013年1月24日
「中年サンゴリアス」その11 武山哲也 『仕事で活躍してラグビー選手を迎える』
中年サンゴリアス◆武山哲也◆仕事で活躍してラグビー選手を迎える
サンリーブ株式会社 近畿圏支社広域営業2部 部長
1989~1998年度現役
■次の塊
今年の4月から大阪勤務で、大阪、奈良、和歌山のスーパーを回っている部署で、営業の仕事をしています。東京では酒の量販店を担当していたので、ちょっと業種が違いますが、売っているものは同じです。今、大阪に転勤して単身赴任なので、ふだん時間がある時はスポーツクラブへ行きますが、トレーニングをしに行っているというよりは、サウナに入って帰って来るという感じですね(笑)。あとはゴルフ場で谷底に飛んでいったボールを拾いに行きながら、ちょっと運動しているというところです。カートに乗らずに走っていますよ。
選手を引退して、永友(洋司/現キヤノンヘッドコーチ)が監督になった時にチームディレクターをやりました。清宮(克幸)監督時代もやっていますし、エディー(ジョーンズ)監督の1年目までチームを手伝っていました。その後、今のチームに関してはホームページでしか見ていませんが、非常に厳しい練習をしているみたいで、去年、日本選手権を連覇してプレーオフとの2冠も獲得して、今年もここまで順調に来ていますよね。「怪我人が少なく最後まで行ってもらえればいいなぁ」と思いつつ、「勝つということが当たり前みたいになっていて、試合内容が問われたりしているなぁ」と、第三者的に観ています。
結構若いメンバーも入ってきていますが、「もうちょっと若いメンバーが増えてきた方が良いんじゃないか」と思います。有賀(剛)とか佐々木(隆道)の代が今のメンバーの中心になっていますが、次の大きな塊が出てくると良いですね。長友(泰憲)とか真壁(伸弥)とか1人ずつは上がって来ていますけれど、ある同期の塊がガバッと行くと、その年代は強いですから。大久保直弥の時も田中澄憲や沢木敬介とか大量に入ってきた時でしたし、佐々木とか有賀の時は9人入って、僕がリクルートして入れたそのメンバーが殆ど残って今チームの中心になっています。その次の塊がもうそろそろ入ってこないといけないと思います。「同期でみんなで頑張ろう」というモチベーションもありますから。
■OBだからこそ厳しく
現役時代のいちばんの思い出は、初優勝した時のことです。土田(雅人)監督、清宮キャプテンで、神戸製鋼の7連覇をストップさせました。東日本リーグでは3位だったと思いますが、日本選手権の神戸製鋼戦でロスタイムになって同点ゴールが決まって、そのまま終わってトライ数の差で勝ち上がり、三洋電機にも同点でしたがトライ数で勝って、それで日本選手権の決勝を明治大学と国立競技場でやりました。
僕はサントリーにはセンターで入ってきたんですが、土田監督になってそんなタイプではないのにもかかわらず、なぜかスタンドオフをやらされて、「タックルしろ」って言われてひたすらタックルをしていました。それ以降、肩から上を合計して100針ぐらい縫った記憶がありますが(笑)、キックなんか出来なくて、高校でも大学でもセンター、日本代表でもセンターでしたが、当時のサントリーはフォワードサイドが抜かれていたので、土田さんから「タックルだけやっていればいい、キックやパスはいらない」と言われてやっていました(笑)。それでも日本一になってしまいました。
ラグビーは自己犠牲精神のスポーツで、みんなのためにやっているという部分が大きくて、仕事も結局チームのためにとか、部署のためにという形で、嫌なこともやったりもしますよね。ですから自分を犠牲にしてやるというラグビーの精神は仕事をしている今、自分の中に大きく残っていると思います。とくに選手を終えてチームスタッフになってから、ラグビーの普及活動など、裏方の仕事をすることも多くて、ラグビーをやらせてもらった恩返しをするという気持ちで、子どもたちへ教えることの重要さ、ファンを増やすことの大切さは、スタッフにならないと分からない部分も自分としてはあったので、良い勉強になりました。
プロ選手以外の社員選手たちは、遅かれ早かれ必ずサントリーの社員としての仕事に戻ります。まだやれるタイミングでチームから仕事に戻れと言われれば、やはりそれは辛いかもしれませんが、いずれ戻ってくる訳です。そしてサントリーの中でも「彼はラグビー部だ」と必ず言われますから、そういうOBが仕事で活躍して課長などになって、そこでラグビーの選手たちを自分の部署に迎えてくれれば良いのではないかと思います。
これぐらいラグビーのウェートが高くなってきている今、練習のこと等をより理解してくれるマネージャーがいれば、選手にとって部署にも居やすい部分もあると思いますし、一般のマネージャーは結構、気を遣って言えなかったりする部分もありますから、いずれ選手は辞めなければならないのだからということで、OBだからこそ厳しく言える部分もあると思います。そんな風になっていったらいいですね。