CLUB HOUSE

クラブハウス

サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2012年11月30日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #010 『クラブハウス』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「クラブハウス」(解説:田原 耕太郎/主務)
 
ラガーマンにとってクラブハウスと言えば、「家」と言うほど落ち着くかというとそうでもないし、「勝負するところ」なので、選手の時は正直そんなに落ち着かなかったですね(笑)。僕は今は主務という立場のスタッフで、選手はグラウンドで激しい練習をしているので、クラブハウスではなるべく選手たちがリラックス出来るように、やることはやっているつもりですが、選手にとってはどうなんでしょう。感じ方は人によると思います。
 
他のチームのクラブハウスは実際に使ってみたことがないので何とも言えませんが、サンゴリアスのクラブハウスには色々なものが揃っています。洗濯にしても食事にしても、全部ここで事足りるように会社がサポートしてくれているので、今回また改修工事をして新しくなりましたし、そういう意味で凄くクォリティーは高いクラブハウスだと思います。うちになくて、他のチームにあるものもあります。例えば卓球台があったり、ビリヤード台があるところなんかもありますし、海外だったらクラブハウスの中にバーがあったりと、クラブハウスをチームにとってどういう位置づけにするかということで、チームの色が出ていますね。
 
何でもかんでも与えられるのが良いかと言えば、僕はそうではないと思いますし、選手はもちろん練習で100%のパフォーマンスを出すということが大事で、スタッフはそれをサポートするのが仕事な訳です。ですが、選手はそれだけではなくて、自分たちで出来ることはやるべきだと思います。クラブハウスの色々な決まりや片付けなんかの中にも、選手がやることの出来る要素がたくさんあるので、それは実際、うちは選手会を通じてやってくれていますが、クラブハウスの使い方やクラブハウスをどうするかというところに、1つのチームの象徴が出てくるのではないでしょうか。
 
うちは特にいま、色々なコミュニケーションをしたり、ロッカーひとつにしても、若手とベテランが一緒になったりとか、クラブハウスを上手く使えていると思います。試合に出られる人、出られない人がいるのはこれだけ人数がいれば当たり前ですが、僕が選手会長をやっている時にはもう少しチームへの関与度やコミットをどうしたら上手く出来るか?ということを考えていました。試合に出られないメンバーが「チームのために」と言葉で言っても漠然としていますし、自分がチームのためになっているのかよくわからなくなってしまうので、形にしなければいけないと考えていました。
 
そういう意味で何が形に出来るかというと、クラブハウスを綺麗にするために役割分担して責任を持つとか、ゴミひとつ拾って綺麗にするだけで気分が良いのはもちろん、それでチームへの関与度が確実に上がります。僕らは分からなかったんですけれど、久し振りに来たOBが、「クラブハウスが凄く綺麗になって、昔と比べて入って来た時に空気が違う、ピッとなる」と言ってくれます。ここへ来たら背筋がピッとなって、練習しようって思ったりすること、それは凄く大事なことだと思います。
 

10月まで借りていたよみうりランドのクラブハウスの1階の廊下は、カメラマンの長尾さんと話して、廊下に歴代のサンゴリアスの写真を過去から今に向けて並べました。廊下を通りながら、こういうシーンで試合がしたいな、と思ってロッカーに入ってくれればいいなということで設置しました。そして2階はちょっとリラックス出来るように、去年勝ったシーンの写真を並べていました。
 
主務として、そういうひとつひとつ細かいところをやっていかないといけないと思っています。最終的に勝敗はグラウンドで決まるんですけど、それ以外の要素はいくらでもあると思うし、いろんなものを人間ってたぶん言い訳にしちゃうと思うんです。その要素をなくしていくというのが、僕らマネージャーの仕事だなと思うんです。全部技術の上で起こっていることだということを選手に言わせるために、僕は準備を100%したいという気持ちです。
 
何かの巡り合わせで、何十年に1回のクラブハウスが新しくなるタイミングに立ち合えた訳ですから、その時にマネージャーをさせてもらっているということは大変なことはたくさんありますけれど、とても楽しいですし良い経験ですよね。それは僕だけじゃなくて、そこに居合わせる選手も、凄く大事なことを経験すると思います。そして僕らみんなにとって良いクラブハウスにしていく責任があると思っています。

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