2012年11月14日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #006 『ハーフ団』
サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
「ハーフ団」(解説:日和佐 篤)
ハーフ団は団と言っても2人、9番と10番です。スクラムハーフとスタンドオフですが、この2人には“テンポ”があると思います。今サントリーはフーリー(デュプレア)と晃征(小野)がセット、僕とトゥシ(ピシ)がセットで、前半良いゲームをして、後半の20分に僕とトゥシが入ってテンポを上げるというパターンです。速いゲームにするハーフ団と、ゲームをコントロールするハーフ団と、今その2つに分かれていると思います。
チームによって、状況によって、速いテンポでやりたいのか、コントロールしてほしいのか、が違ってくると思います。速いテンポで出来るのにこしたことはないと思いますし、サントリーだから出来るというところもあると思います。フィットネスの問題もあるし、速いテンポでやったら80分もたないチームもあると思います。
ある程度コントロールする時間と速い時間とのメリハリをつけてやらないと、ずっと速いテンポというのは無理で、10番といつもコミュニケーションをとって、そこのところは共通認識を持ってやるようにしています。「今はコントロール」とか「速い球が欲しい」とか言っています。
僕らはバックスを見ていますし、またフォワードの走り方も見ています。フォワードありきの今のバックスのシェイプだと思うので、フォワードが疲れてきて走れていない時は、1回止めて、ゆっくりリセットし直すというやり方です。
その中で、9番はリズムづくりをします。ボールのスタート地点で出すのも止めるのもハーフの仕事なので、スピードを上げるのと落とすコントロールをします。10番はゲームをコントロールする役目ではないでしょうか。サインを決めたり、フォワードで行くかバックスで行くのか、キックをするのかという、オプションの司令塔ですよね。
9番はボールのところへ行って、チャンスの時はすぐにボールを出します。フォワードが遅れたりバックスが遅れたり、ラインのセットが出来ていなかったら、一瞬止めてから出すようにしています。
パスのスピードについては、僕は10番にパスする時は、出来るだけ速くて良い球を投げるようにしています。そこがゆっくりしているとたぶん相手につめられますので、出来るだけ速く渡すようにしています。
9番から見て良い10番は、前を見ていて、しっかりコミュニケーションをとってくれる人だと思います。9番と10番は、フォワードで行くか、バックスで行くか、どこに球が欲しいとか、右か左か、ずっとしゃべってます。良い10番はよく声を掛けてくれますね。
チーム同士の力が拮抗している時は、たぶんハーフ団の出来次第、つまりハーフ団のコントロール次第で負けたり勝ったりすると思うんですけれど、力の差が歴然としていたら、ハーフ団のせいで負けたとは言い難い部分があります。
レギュラーシーズンの試合は、負けてもいいという言い方は語弊がありますけれど、負けても大丈夫な試合ですよね。でもチャンピオンシップは勝たなきゃいけない試合なので、手堅く手堅くやるという違いがあると思います。同じ試合でも、当然そういう状況次第でハーフ団の試合の進め方も変わってきます。