こんな少年がラグビーを通じて立派な大人になったというのが「少年サンゴリアス」ならば、サンゴリアスでのラグビー人生を通じて得たものを仕事人生にどう活かしているかというお話を聞くのが新コーナーの「中年サンゴリアス」。中年と呼ぶにはまだ早いメンバーも含め、OBたちの変わらぬラグビー愛や職場での様子を語ってもらいます。


中年サンゴリアス◆武田三郎◆仕事のストレスはラグビーで ラグビーのストレスは仕事で
サントリーコーポレートビジネス株式会社 開発営業部 部長
1996～2007所属

■安心して見ています

いま僕はサントリーコーポレートビジネスという法人対象の会社で、電鉄会社さんを担当しています。営業です。サンゴリアスのGMを2年やってから、サントリーフーズのラグビー部のGMも2年間やり、それを終えて、今はまったくラグビーに関係がなくなってから2年半経ちました。

　 試合会場にはコソッと来ているつもりなんですけれど(笑)、今のラグビーは有名選手が日本にいっぱい来ていて楽しいですよね。僕らの時にもいましたけれど、今は本物が来ています。その中で、今のサンゴリアスは安心して観ています。でも、優勝を求められていますから、大変そうだなと思いながら見ています。

　 GM時代の思い出は、カリスマの清宮(克幸/当時監督/現ヤマハ発動機監督)が来て、ただ清宮の発言だけを気をつけたぐらいです(笑)。清宮が監督になったと同時にGMになって、2年間やりました。その前はチームディレクターで、その時のGMは本城(和彦)、監督は永友(洋司/現キヤノン監督)でした。

　 清宮が望むものは大きかったですから、大変と言えば大変でしたけれど、なんとなく結果は残すだろうなというのは感じていたので、なんとか協力したいと思いながらやっていました。監督と会社の間に入っての調整業務が主でした。

　 ラグビーに携わっている間、昔から仕事とラグビーを両立する美学みたいものがあったので、それだけは崩しませんでした。今はプロが多くなってきていますけど、ホームページとかを見ているとそんなにプロと社員の間にギャップがなさそうで、上手いこと運営されているなと思います。

■100kgぐらいありました

選手時代はプロップ、1番でした。酔っぱらいの中里(豊)とポジションを競ってましたから(笑)、もっと横にデカかったんです。100kgぐらいありました。スタッフになって10kgぐらい痩せて、去年、今の会社になってゴルフをやるためにまた10kg痩せました(笑)。もうこれ以上はないですから痩せませんよ。

現役を辞めて体重が落ちたのは、何もしなかったらどんどん筋肉が落ちたんです。僕はウエイトが嫌いでしたから、練習終わったらすぐご飯を食べて帰ってました。よく言われましたよ、"練習嫌いのサブ"って有名でしたからね（笑）。

現役時代は、今と違って全国大会とかがありました。それで大阪にずっと2週間近く泊まり込みで、その大会で最後は決勝まで行って神戸製鋼に負けたのがいちばんの思い出ですね。サントリーは今と比べて、昔はフォワードが弱かったんです。スクラムをよく押されて、バックスに怒られてました。だから選手としてはあまり良い思い出はありません(笑)。

サントリーのフォワードが強くなったのは、永友がキャプテンをやって優勝した時からです。今みたいな動きのラグビーではなくて、オジさんラグビー、モールばっかりでした。ゴール前へ行ってラインアウトからモールを押し込んでトライとか、そういう面白くないラグビーをやっていました。

強化したと言うより、たぶん強味がそこしかなかったんじゃないでしょうか。でもそこから変わりました。エディー(ジョーンズ/前サントリー監督/現日本代表監督)の元々いたチームであるACTブランビーズ(オーストラリア)のラグビーをやり始めてからでしょうね。走らないといけないし、力強さも必要ですし、あれは大変だったんではないでしょうか。

■まとめなきゃいけない経験は今の仕事に役立っている

僕は学生のリクルートをやっている時も、いつもうちのチームは仕事もできてラグビーもできる、仕事のストレスはラグビーで、ラグビーのストレスは仕事で解消、とずっと言い続けていたんです。僕の場合はとくにスタッフをやらせてもらったので、余計に今ラグビーでの経験を、活用できているような気がします。

ラグビー部員はスタッフを入れたら50人以上、今はもっと多いですけれど、それをまとめなきゃいけないという経験は、今の仕事に役立っていると思います。今の会社でも、ラグビー部とかバレーボール部のスタッフの経験者を、うちの会社に呼んだ方が良いと、社長に言っています。

今年のサンゴリアスは大丈夫でしょう。2冠を獲らないと、また誰かさん、怒るから(笑)。頑張って獲ってほしいです。大久保直弥が監督になって、今いちばん辛い時期だと思いますが、チームがひとつにまとまっているから、良いと思います。


（構成：針谷和昌）