CLUB HOUSE

クラブハウス

サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2012年9月27日

特別対談シリーズ「となりのフットボール」 Verdy & Beleza × Sungoliath

昨シーズン、ラグビー界の3冠(リーグ1位、プレーオフ、日本選手権)を制覇したサントリーサンゴリアスが、クラブハウスの改修工事により期間限定でよみうりランドに来ています。よみうりランドはサッカーJリーグの東京ヴェルディ、そしてなでしこリーグの日テレ・ベレーザの本拠地。ラグビーとサッカーのトップチームが今、隣り合わせで日々練習を重ねています。それぞれのチームが目指すは日本一。同じフットボールとしての魅力やそれぞれの競技の特徴、そして将来展望を語り合ってもらうべく、コラボレーション対談が実現しました。それぞれ隣の芝生はよく見えているのか?そこから新たな発見はあるか?題して「となりのフットボール」。競技を超えたトップアスリート同士の対談をぜひお楽しみください。
 
特別対談 『となりのフットボール』 第1回
サントリーサンゴリアス 有賀剛×日テレ・ベレーザ 岩清水梓
【先に3冠を獲得してもらって、それに続きたい】

 
岩清水梓選手プロフィール

『クラブハウスのガラスにへばり付いて(笑)』(岩清水)
 
――岩清水選手は球技が好きということですが、隣のグラウンドで練習をしているラグビーはどうですか?
 
岩清水:ラグビーはやったことがありませんが、ラグビーボールって普通に転がらないので、以前下半身のリハビリメニューで、ラグビーボールを転がして、拾うというトレーニングをしたことがあります。真っ直ぐに転がらないボールは、サッカーをやっている私たちにとってあり得ないことなので、そのラグビーボールを扱っている皆さんの感覚は、見ていてすごいと思います。
 
――女子ラグビーをやってみようとは思いませんでしたか?
 
岩清水:ここまでサッカーやっちゃいましたからね(笑)。ラグビー選手は、プレーをしていてボールの軌道は分かるんですか?
 
有賀:ラグビー選手でもボールをバウンドさせてしまうと、分からなくなります。なるべくそのバウンドをさせないでキャッチすることが前提ですね。
 
岩清水:あと、私のポジションはセンターバックなんですけど、有賀さんのポジションはフルバックで、私のポジションと役割は似ているんですか?
 
有賀:似ていると思います。フルバックというポジションは、アタックをすることもありますし、一番後ろで指示を出したりするので、ゴールキーパーの役割もあると思います。
 
岩清水:インターセプトをしたりしますか?
 
有賀:したり、されたりですね。開幕戦では、インターセプトをされてしまいました。岩清水さんがゴールを決めることもあるんですか?
 
岩清水:フリーキックやコーナーキックなどのセットプレーでは、相手ゴールの近くまで攻めることがあるので、そういう時だけですね。最近はあまりゴールを決めていませんが。有賀さんは、最後は1人で守るんですか?
 
有賀:抜け出してきた相手選手を止めたり、相手選手が蹴ってきたボールをキャッチすることが僕の役目ですね。だからと言って、ディフェンスだけではなくて、アタックにも参加します。岩清水さんと同じで、グラウンドの中で行ったり来たりをしています。
 
岩清水:これまでラグビーは見たことあるんです。けれど、やっぱりルールがあまり・・・すいません(笑)。テレビで放送していた試合を見たんですが、学生だったのか、社会人だったのかも分からなかったんです。けど、サントリーさんがこのよみうりランドのグラウンドで練習するようになってからは、クラブハウスのガラスにへばり付いて、チームのみんなで「すっげー」って言いながら練習を見ていました(笑)。

有賀:練習を見た印象は何かありましたか?
 
岩清水:まず、サッカー選手とは体つきが違います。それに練習もハードだし、掛け声もすごい大声を出しますよね。同じ芝のフィールドですけど、全く違うものを見ている感覚でした。
 
有賀:僕らは逆にサッカーの練習風景が見えないんですよ。すぐ隣のグラウンドで子供たちが練習をしている姿は見ることが出来るんですが、トップチームのグラウンドは奥で更に高いところにあるので、なかなか練習しているところが見られないんですよ。けど、なでしこジャパンは、ワールドカップで優勝して、ロンドンオリンピックでも銀メダルを獲得したので、今や注目の的ですよね。
なでしこジャパンが優勝したワールドカップの時は、僕らは日本代表の遠征でフィジーにいました。インターネットでワールドカップの結果をチェックしていたんですが、どんどん勝ち進んでいって、まさか優勝するとは思ってもいませんでした。ロンドンオリンピックも、決勝戦が夜中に放送していたので、見るつもりはなかったんですが、たまたま目が覚めた時に前半終了間際で、そこから試合終了までずっと見てしまいました。あの決勝戦はすごく良い試合でしたね。
 
岩清水:今まで一番良い試合だったんですが、結果がついてこなかったので悔しい思いはあります。
 
有賀:ワールドカップの時は、勝てると思っていましたか?
 
岩清水:ポジションがディフェンダーだからなのか分からないですけど、守らなきゃいけないですし、点を取ってもらわなきゃ勝てないという意識があるんです。ポジションがフォワードなどの選手は試合前に「絶対勝てる」と言って試合に臨んでいるところを見るんですが、私は「絶対に勝てる」という自信を持って試合に臨んだことがあまりないんです。そういう意識はありますか?
 
有賀:僕はアタックもするので、僕は「絶対に勝つ」という気持ちで毎試合臨んでいます。でも、女子サッカーのレベルって、今すごく上がっていますよね?
 
岩清水:以前よりも海外に移籍した選手が増えて、海外で培ってきたものを広めていってくれています。女子選手はドイツリーグに移籍する選手が多いんですが、ドイツリーグでプレーしたフォワードの選手と一緒に合宿などをやり、そこでディフェンスをやると、今までと違う感覚で練習が出来て、そういう環境が女子サッカー選手の意識を変えたところだと思います。

有賀:岩清水さんは海外でプレーしたいとは思わないですか?
 
岩清水:意識はありますけど、今のチームでもやるべきことはたくさんあると思っています。ラグビーの環境はどうなんですか?
 
有賀:日本のラグビーは、サッカーとは逆で世界のトップ選手が日本でプレーしていたりもします。海外の中で、金銭的な部分も含めて日本の市場が良い環境にあるんだと思います。現役のオールブラックス(ニュージーランド代表)やワラビーズ(オーストラリア代表)の選手が日本でプレーしています。
 
岩清水:え?来ているんですか?
 
有賀:来ていますよ。日本もそういうレベルになってきました。サントリーの外国人選手の中にも海外のトップ選手がいますよ。
 
岩清水:練習を見ていて、海外の選手がいるなぁって思っていました(笑)。オールブラックスで思い出しましたけど、1度オールブラックスの試合を見たことがあります。確か去年、国立競技場でやった試合です。
 
有賀:国立競技場でオールブラックスとワラビーズが試合をしましたね。
 
岩清水:そこで初めてラグビーの試合を生観戦しました。ゴールライン際のギリギリのせめぎ合いは、あまり詳しくはない私でも興奮しました。
 
有賀:国立競技場はグラウンドと観客席が少し遠いですけどね。
 
岩清水:グラウンドと観客席が近かったら、もっと興奮しますね。
 
有賀:ぜひ秩父宮ラグビー場で試合を見てみてください。秩父宮ラグビー場は、グラウンドと客席がすごく近いんです。
 

『日本の運動量は世界でも負けない』(岩清水)
 
岩清水:あの~、そもそもの話をしていいですか?(笑)。コートの大きさはサッカーとラグビーで一緒ですか?サッカーは105m×68mなんですよ。
 
有賀:ラグビーは縦が100m以内で、横が70m以内となっているんですが、ゴールラインの奥にインゴールエリアがあるので、ほぼサッカーと同じくらいのグラウンドだと思いますよ。ただ15人対15人で試合をします。
 
岩清水:交替は何人ですか?
 
有賀:リザーブメンバーは7人です。
 
岩清水:何回交替してもいいんですか?
 
有賀:出血などの時以外は、1回戦術的交替をしたら、その後は試合には出られないので、そこはサッカーと同じだと思いますよ。
 
岩清水:出血の時は、代わりの選手を入れられるんですね。サッカーはそれが出来ないんですよ。
 
有賀:あとサッカーは、交替は3人までですよね。
 
岩清水:公式戦は3人までです。
 
有賀:それだと3人交替した後は、リザーブに入っていても「この試合ももう試合に出られない」ってなっちゃいますよね。サッカーの素人としては、ラグビーみたいに交替枠を増やせばいいのにって思っちゃいます。サッカーはリザーブに何人入れるんですか?
 
岩清水:女子は5人なので、16人で試合に臨みます。Jリーグだとリザーブが7人になるんです。
 

――岩清水選手は子供の頃からずっとサッカー一筋ですか?
 
岩清水:小学3年生の時はバスケットをやりました。でも、その時以外は、ぶれずにサッカーをやってきました。小学校の時は、地元の少年団に入ってサッカーをやっていて、その時は遊びの感覚でサッカーをやっていましたね。女の子って、男の子よりも成長が早いので、チームの中でも1番背が高くて、足も速かったんです。
 
有賀:メインにやっていたのが、ずっとサッカーだったんですか?
 
岩清水:そうです。父親が厳しくて、「1度やると言ったことは、やれ」という人でした。実はサッカーを辞めたくなった時もありました。
 
有賀:ちなみに女子サッカーの人口はどれくらいなんですか?
 
岩清水:登録している人が3万~4万人くらいで、まだまだ少ないんです。男子は2015年までに100万人という目標があるそうなので、女子よりもかなり多いですね。(※2011年度登録者数:約88万人)
 
有賀:女子もこれからきっと増えますよね。なでしこジャパンの影響で、この前のU-20女子ワールドカップも凄かったですよね。若い世代からのプレッシャーは感じますか?
 
岩清水:それはありますけど、まだ負ける気はないです(笑)。U-20女子ワールドカップも、私たちが結果を出さなければ、日本での開催もなかったと思いますし、あれだけのお客さんも見に来なかったと思います。それを考えると、結果を残すことが出来て良かったと思います。
 

――ワールドカップ優勝、オリンピック準優勝、日本の女子サッカーの良いところはどこだと思いますか?
 
岩清水:辛抱強さだと思います。ロンドンオリンピックの時は準々決勝でブラジルと、準決勝でフランスと戦いましたが、一方的に攻められてシュート数も日本の7倍くらい打たれて、しんどい試合だったんです。それでも勝つことが出来ましたが、あれだけ攻められると、守るリズムが出来て、守り慣れるという感覚になるんです。
 
有賀:テレビを見ていて、松木さん(安太郎/サッカー解説者)が「岩清水選手が入って、守備が安定しましたね」って言っていましたよ(笑)。オリンピック前に怪我をされていていたんですよね。 ――今、日本の女子サッカーが世界をリードしているんですね
 
岩清水:日本の運動量は世界でも負けないストロングポイントでもあると思います。特に重点的に鍛えたというわけではないんですが、日本人は真面目ということじゃないですかね(笑)。1つのボールに11人が連動した動きが出来るということは、アメリカやブラジルの選手には出来ないと思います。そこが日本のストロングポイントです。練習中に、ボールの遠いところにいるからといって動かないと、すごく怒られましたし、そういう環境で育ってきたので、今のサッカーが出来ているんだと思います。
 
有賀:僕らもものすごく走ります。
 
岩清水:サントリーさんのフィジカル練習を見ました。本当にすごくて、絶対にあんなに走れないと思いました。顔を青くしながら見ていました(笑)。
 
有賀:スポーツとして1番の違いは、ぶつかるということだと思います。ぶつかって走るということは、ものすごくキツいことなんです。ぶつかって走るという能力がないとラグビーをやることは難しくて、その能力を伸ばすためにトレーニングを積んでいます。
 
岩清水:サッカーはスライディングなどでボールを奪うので、あまりぶつかり合うということはないですからね。練習を見ていて思ったんですが、走り方のトレーニングもされていますよね?
 
有賀:杉本さん(龍勇フィジカルコーチ/バルセロナオリンピック4×400mリレーにアンカーとして出場し6位入賞)をチームにお招きして、いかに省エネで走るかというトレーニングをしています。
 
岩清水:以前、よみうりランドのグラウンドに岡崎さん(慎司/VfBシュトゥットガルト所属)が来ましたよね。
 
有賀:杉本さんは岡崎さんが清水エスパルスの時から専属契約をしていて、岡崎さんを開花させたと言われている人なんです。
 
岩清水:サッカーの練習じゃなくて、ラグビーを練習しているグラウンドに来ていましたね(笑)。サントリーの皆さんは体が大きいのに、走るのがすごく速いですよね。
 

『倒れている選手はダメ』(有賀)
 
――有賀選手は以前からサッカーを見ていたんですか?
 
有賀:やっぱり主に見ていたのは男子の日本代表の試合ですね。今はなでしこの試合もテレビでやるので、男女とも日本代表の試合は見るようにしています。最近感じるのは、男子の試合よりも女子の試合の方が、パス回しなど面白いと思います。得点が生まれそうなシーンは、女子の方が多い気がしていて、ロンドンオリンピックの決勝は、本当に「サッカー面白い」と思いました。
あと注目するところとして、この選手はどういう選手かという部分を見ています。例えば、この選手はすぐ痛がるとか、あの選手はタフだとか、サッカー全体というよりはそういうところを見ていますね。
ラグビーって、人が痛がって倒れていても、ボールが外に出ない限り試合を止めてくれないんですよ。だから、ラグビーは倒れている選手はダメだと思われるスポーツなんです。「仲間が戦っているのになに倒れてんの?」って見られてしまうので、僕もサッカーを見る時に、倒れている選手を見ると、「仲間が戦っているのに、何で痛がってるの?」って感覚で見てしまいますね。
特に日本代表の本田選手(圭佑/CSKAモスクワ所属)は、倒れてもすぐに起き上がりますし、わざと痛がりもしないので、タフな選手だと思います。女子選手もタフな選手が多いと思いますよ。
 
岩清水:やっている選手としては分からないんですよね(笑)。私としては、目の前でマッチアップする選手に点を取られたくない、仕事をさせたくないという気持ちしかなくて、他のことを考えると自分のプレーもぶれてしまうので、自分のプレーをぶれずにやることが結果に繋がることだと思っています。
 

――Jリーグは意識しますか?
 
岩清水:やはりサッカーはプロ選手が多いので、Jリーグと比べられることが多いですね。Jリーグを目標としている部分は多いですよ。
 
有賀:女子選手もプロなんですか?
 
岩清水:私はクラブのスタッフとしても仕事をしているので、このクラブの契約社員のような形になります。私と同じような形でこのチームでプレーしているのは、坂口(夢穂)になります。他の選手は、昼間は別の会社で仕事をして、夜は一緒に練習をしている選手がほとんどなんです。U-20ワールドカップに出ていた選手になると、普段は学生なんです。
 
有賀:INAC神戸さんも同じなんですか?
 
岩清水:INACさんは学生がいなくて、全員がプロ選手なので、お昼からチームとして練習が出来るんです。女子の中で、全選手がプロ選手なのは、INACさんだけだと思います。そのINACさんに(なでしこリーグカップ決勝で)勝った嬉しさはあります(笑)。
 
有賀:今の人気があれば、どんどんプロ化していくんじゃないですか?
 
岩清水:今まではリーグ戦全試合が無料試合だったんですが、今シーズンは半分くらいの試合で有料化が進んでいるので、少しずつ環境が整えられていけばいいと思います。
 

『ボールを一緒に蹴ると、同じ方向に進む』(岩清水)
 
――岩清水選手は現在25歳ですが、女子サッカー界の中では中堅になるんですか?
 
岩清水:代表で言えば中間で、若手とベテランのつなぎ役になります。このチームでは、若手選手が多いので、キャプテンをやらせてもらっています。
 
有賀:僕はサントリーの中でバイス・キャプテン(副キャプテン)なんですが、キャプテンとして気をつけていることはありますか?
 
岩清水:練習や試合で、コミュニケーションを取るようにしています。それ以外の時は、特に気をつけていることはないですね。
 
有賀:僕はなでしこジャパンの選手がまとまるのかって心配になることがあるんですよ。皆さんすごくキャラクターが濃くて(笑)、キャラクターの濃い選手が多いチームをどうまとめるかということは、すごく気になります。
 
岩清水:どうしても敵同士だった選手が集まるので、最初はギクシャクしてしまいますね。実際にボールを一緒に蹴ると、同じ方向に向かって進むことが出来るので、自然とまとまります。
 
有賀:代表では、同じチームの選手同士でまとまることが多いんですか?
 
岩清水:同じチームよりも、同い年の選手同士でまとまることが多いですね。
 

――有賀選手は29歳ですが、ラグビーではどうですか?
 
有賀:僕はもうかなりやったと思っているんですが、まだまだ年上の選手が多いですね。
 
岩清水:年齢が上の選手は何歳くらいなんですか?
 
有賀:トップリーグの中には40歳を超えている選手がいますよ。サッカーで言うキングカズのような選手がいるんです。だから僕の年齢は、真ん中よりも少し上くらいだと思います。けど、学生とトップリーグとのレベルの差が開きすぎてしまって、若手選手でなかなか試合に出られる選手がいないんです。サッカーは逆に、どんどん若手で良い選手が出てきていると思うんですが、ラグビーはそういう感じではないですね。サンゴリアスでいえば47人の選手がいて、外国人選手を除くとプロ選手は7人になります。
 
岩清水:他の選手は普段は仕事をしているんですか?
 
有賀:営業をしている選手がほとんどですよ。だから例えば、"明日はボジョレーヌーヴォー解禁日"という日には、夜練習が終わってから、また仕事に戻って売り場のディスプレイをしていたりするんです。
 
岩清水:その免除はないんですか?
 
有賀:そういう免除はないですが、シーズン中は、平日は12時まで仕事をして、午後は練習をしています。トップリーグの中では、他のチームよりも仕事をしていると思います。僕はプロ契約をさせてもらっているので、仕事をして練習もしている選手を見ると、大変だなぁと思っています。
 

『ぜひ試合を見に行きたい』(有賀)
 
――岩清水選手は今後どういう目標を持っているんですか?
 
岩清水:あまり先のことまでは考えていないですね。今回カップ戦でチームにタイトルをもたらすことが出来ましたが、これからリーグの後半戦になるので、リーグ戦のタイトルを獲りたいと思います。今は代表よりもチームのことしか考えてない状況です。個人としては、絶対に抜かれないディフェンダーになりたいと思っています。まだまだ失点してしまう試合があるので、無失点試合をどれだけ出来るかということを考えています。
 
有賀:なでしこリーグは2強なんですか?
 
岩清水:宮間選手(あや)がいる岡山湯郷ベルも強いです。なでしこリーグと全日本選手権と、これからタイトルを2つ取ることが出来るので、その2つを取って3冠を目指したいですね。
 
有賀:サントリーもリーグ戦1位、プレーオフトーナメント、日本選手権と、昨シーズンと同じようにすべてのタイトルを取りたいです。
 
岩清水:ラグビーのシーズンは、まだまだこれからですか?
 
有賀:まだ始まったばかりで、シーズンが終わるのは2月です。サッカーは暑い中、試合をしますが、大変じゃないですか?
 
岩清水:大変ですよ。後半になると疲れがたまってきますし、足をつりますね。そういう状況になってくると、ボールを失わないことを考えるので、戦術を変えたりします。
 
――男子サッカーはオリンピックよりもワールドカップの方が注目度は高いんですが、女子サッカーは?
 
岩清水:女子はオリンピックの方が注目度は高いですね。私たちがワールドカップで優勝しましたが、大会が始まる前は女子のワールドカップがあること自体知らない人もいたと思うんですよ。オリンピックはいろんな人が見てくれていて、そこで結果を残すと知名度が上がります。
 
有賀:2016年のリオデジャネイロオリンピックから7人制ラグビーが正式種目になるんですよ。ラグビーには15人制と7人制があるんですが、同じフィールドでやるので、7人制ラグビーの方がスピーディーでトライがたくさん取れるんです。その分、めちゃくちゃキツいですけどね。
 
岩清水:オリンピックは日本選手団として戦うことが出来て、他の競技も応援することが出来るので、面白いですよ。
 
有賀:ロンドンオリンピック後の銀座でのパレードでは、体操の内村選手(航平/コナミ)の隣にいましたね(笑)。
 
岩清水:まずパレード自体の経験がなかったので、本当に嬉しかったですね。メダルを取ったからこそ、他の競技の選手とも接することが出来たので、良い経験が出来ました。有賀さんも2016年を目指したらいいんじゃないですか(笑)?
 
有賀:4年後はさすがに無理。しかも7人制なんて、絶対に無理ですよ(笑)。
 
岩清水:年齢制限はないんですか?
 
有賀:年齢制限はないですけど、7人制は若い選手の方が良いと思います。
 

――サッカーからラグビーへ、ラグビーからサッカーへメッセージをお願いします
 
岩清水:こうやって同じグラウンドで練習をしていなければ、ラグビーのことを知ることもできなかったと思いますし、おかげさまでラグビーに興味を抱いているので、機会があればぜひ試合を見に行きたいと思います。お互いリーグ戦で大変だと思いますが、時間があればグラウンドで一緒にボールが蹴れればいいと思っています。ラグビーにしろサッカーにしろ、お互いに良い練習になると思いますよ。
 
有賀:確かにお互いに共通点はあると思いますし、今後機会があればやってみたいですね。僕は日テレ・ベレーザさんの試合もそうですが、なでしこジャパンの試合を見に行きたいですね。オリンピックを見てから、なでしこのファンの1人になっているんですよ。僕の周りで少しサッカーをやったことがある人も、「なでしこは世界で一番良いサッカーをしている」と言っているので、そのサッカーをぜひ生で見たいと思います。今後、代表戦はあるんですか?
 
岩清水:今年はもうないですね。ただ11月に女子版のクラブワールドカップが日本で開催されるんです。この前のカップ戦で優勝したので、ベレーザも出場出来るんですよ。
 
有賀:それは見たいですね。リーグ戦はいつまでですか?
 
岩清水:最終戦が11月11日で、相手はINAC神戸、アウェーでの試合になります。その後に全日本選手権があって、決勝は12月24日に国立競技場で行われます。
 
有賀:サントリーは12月23日にヤマハスタジアムで試合なんです。先に3冠を獲得してもらって、サントリーがそれに続きたいと思います。
 
 
 
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)[写真:長尾亜紀]

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