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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2007年10月22日

YELLOW FLAG TALK 第4回「佐々木 隆道×山田 幸代(ラクロス日本代表)」その3

◆諦めない
 
—— 2人ともスポーツ選手という道を歩んでいますが、その道をどうやって選んだんでしょう?
 
佐々木:いろいろなことで成功している人を見ていると、努力することも大事ですが、諦めない姿勢がすごく大事だと思います。最初から上手くいくことなんてあまりないなかで、そこで諦めてしまう人が多いんですが、そこで諦めないことが大事です。どの道に進んでも同じだと思います。僕らはそれがたまたまスポーツなだけで、スポーツ選手にもいずれ引退する時が来ます。その先にどういう自分を描くかというのもありますが、それは今までとはやはり違いますし、そこでも諦めてはいけないと思います。やりたいということにどうアプローチしていくか、そこが大事です。
 
今の子供達に向けて話したいことは、「夢を持って信じること」ということです。今の子供達には好きなことがない子が多いのかな?要は、やりたいことがない子供が多いのか、やりたくてもできない子供が多いのかだと思います。
 
—— やりたいと思ったらやれることがいっぱいありすぎるのでは?
 
佐々木:そういう子供達には「結局何がしたいのか」を聞きたいですね。やりたいことがないわけではではないという子供は、興味のあることを1つ決めてやったらいいと思います。
 
山田:受け身の姿勢な子供も多いと思います。たくさんの情報がありすぎて、選ぶのにも悩んでしまうと思いますが、誰かに選んでもらうことを待ってる子供も多いと思います。
 
私は小さい時からやるかやらないかで悩んだらとりあえずやってみたし、走るか走らないかだったら走る方を選んでいました。「やって失敗することを怖がるんじゃなくて、やって失敗してから怖がれ」というように親には言われていました。私は小さい頃、親に「あかん」と言われたことはなかったですね。何か「したい」といったら「やってみろ」と言われました。やってみて出来ないこともありましたが、お母さんやお父さんに「できなかった」と言ったら、「何故できなかったかを考えろ」と言われました。それでどうやったらできるかを考えるようになりましたし、次のことにもチャレンジするようになって、失敗してもそれから考えることができるようになりました。
 
—— 佐々木選手は両親からダメだと言われたことはありませんでしたか?
 
佐々木:僕はダメと言われてもやっていましたね。何とかしたいからどうにか親を説得してでもやろうと思っていました。僕は飽きやすいですし根性もなかったので、親はダメと言ってもやるのかを試していた部分もあったと思います。水泳を3日で辞めたこともありましたから(笑)。水の中で泳いで何が楽しいのかが僕は分かりませんでした。それだったら野球がしたいとか、友達と遊びたいと思って辞めたんです。
 
—— 2人とも子供達にスポーツを教える機会がありますね
 
山田:例えば親が野球をやらせたいとかサッカーをやらせたいとか思っていることは多いと思うんですが、子供たちはこれという1つにまだ絞っていないんだなと感じることがあります。ラクロスを教えると、「何これ?」から始まるので、全然知らなかったことにのめり込んでくる様子がよく分かります。
 
佐々木:サッカーをしている子でもラグビーをしているときも楽しそうにやっていますし、逆に普段ラグビーをしている子でもサッカーをやらせていると喜んでやっていたりしますね。そうやっていろいろなスポーツをやっていく中で最後に1つに絞ればよいと思いますし、子供のうちは体を動かすということが好きであればそれで十分だと思います。だからみんな笑顔で帰ってくれるのを見るとすごく嬉しいですね。
 
◆小さい時から歯をくいしばってやるスポーツにしてはいけない
 
—— 今後それぞれラグビー界とラクロス界をより良くしていくために、自分の役割は何だと思いますか?
 
佐々木:選手は自分を高めること、日本代表を強くすることがいちばん大事だと思います。そういう選手たちが現役時代にいろいろ身につけたことを引退してからラグビー界に還元することが大事だと思います。今やりたいことは日本代表を世界で戦える集団にすること。その中で自分がその舞台に立てるように頑張ることです。今大会で手応えは掴めましたし、その面では世間ではオーストラリア戦のメンバーはBチームと言われていますが、オーストラリアとやれたことはとてもいい経験でした。
 
僕のイメージで引退してからやっていきたいことは、ラグビーは小さい時から歯をくいしばってやるスポーツにしてはいけないということです。小さい頃は楽しんでやって、その中から一部の人が大人になってから一生懸命やるというシステムです。けど僕が引退する頃には清宮さんがその辺はやっていると思いますから、僕は何もやることはないですかね(笑)。
 
—— 佐々木選手は今回のワールフドカップ日本代表の史上最年少キャプテンとして出場しました
 
山田:見ていて単純に、ラグビーが好きなんだなと思いました。私も楽しむことから勝利を掴むものだと思っていて、代表のコーチなどに「頑張ることを頑張ってやるから勝つと面白い」と言われるんですが、楽しんでやる選手がトップでやることもすごく大事だと思います。そういう面で、佐々木選手はすごく楽しんでラグビーをやっているように見えて、そういう選手がキャプテンに選ばれるんだなと思いました。影響力もありますし、人と違う何かを持っていますし、年下ですけど尊敬する部分がたくさんありますね。
 
佐々木:好きとか楽しいと思う気持ちがなかったら、しんどい練習とかはやっていけませんからね。
 
—— あまりにも負け続けると楽しくなくなるということもありますか?
 
佐々木:僕が中学2年の時にいたチームは弱小チームで、ほぼ勝てない試合ばかりでした。それでも僕は楽しくやっていました。
 
山田:私も弱いチームでやっていました。日本一なんて絶対無理なチームでしたが、チームのみんなが同じ目標に向かって頑張っている時はすごく楽しかったですね。そういう中で「このチームを自分が何とかしてやる」と思うことが大事で、当時代表で身につけたことをチームに持ち帰って、このメンバーで勝ちたいと思って頑張っていました。
 
—— キャプテンシーがあるんですね
 
佐々木:それもそうですが、そうやって目標に向かって突っ走る選手を嫌がるチームもありますから、その辺のバランスですね。メンバーに恵まれることも大事ですね。
 
山田:メンバーにそう思われるのにも、自分が頑張っている姿を認めてもらうことからです。その姿を見せて、チームのみんなにも「自分も頑張ろう」と思ってもらうことが大事です。結果を残すということも重要だと思います。あと最後は運ですね。
 
佐々木:最後にひとつだけ言いたいのは、僕らも不安なこととか自信がないこともたくさんあるということです。だから皆さんも諦めずに一緒に頑張っていきましょう。
 
◆山田 幸代 やまだ さちよ
1982年8月18日滋賀県近江八幡市生まれ
長浜北星高校~京都産業大学~サムライラクロス
[ラクロス歴] '01関西選抜、'02U-21日本代表、'05女子全日本代表、'05世界大会5位

 

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