2007年10月15日
YELLOW FLAG TALK 第4回「佐々木 隆道×山田 幸代(ラクロス日本代表)」その2
◆いちばんになりたい
—— 佐々木選手はラグビーに中学生で出会い、山田選手は大学までラクロスに出会わなかったんですね
山田:バスケットはレールの上を進んでいる感じでした。楽しかったバスケットと考えるバスケットがあって、でも考えるバスケットは先生に「考えろ考えろ」と言われて考えてきただけで、先生が引いてくれるレールに対して自分たちがどういうふうに考えて進んでいくかだったんですが、ラクロスは「考えろ」と言われるレールじゃなくて、レールも何もないところから、自分たちで考えていかなきゃいけない面白さにはまったという感じですね。
—— ラクロスとの出会いは?
山田:ゼミの友達がラクロスをやっていました。バスケで国体をやっている間に、バスケ以外のスポーツで体を動かしておくように言われて、友達がやっていたラクロスに入りました。やってみたらはまってしまって、競技人口が2万人というのもあって、日本代表が近いスポーツで、「いちばんになりたい」という私に合っていました。
—— “いちばんになりたい”ということでは、女子ラグビーも良いんじゃないですか?
山田:ラグビーというスポーツは大学生になってから知りました。見てすぐにはまりました。やったことはないですが、この間のザ・ビーチの時に空いている時間に少し教えてもらって、パスは上手くなりました(笑)。人の真似をするのがすごく好きで、「どうやってるんだろう?」と思って研究しちゃいますね。
佐々木:ザ・ビーチの時はすごくいいタックルをしていましたね。山田選手の他にも来ていた女子選手と1対1の抜き合いをしていたんですが、あれを見て何でもできるんだなと思いました。きっと本気でやったらラグビーでも女子日本代表になれると思いますよ。ラクロスに飽きたら是非やってもらいたいですね(笑)。
—— ラグビーはよく見に行くんですか?
山田:シーズン中はよく行きますね。サントリーとNECの試合をよく見に行きます。サントリーのようなラグビーも好きですし、泥臭いラグビーも好きですね。佐々木選手とはまだ出会って2年くらいですが、やっぱり会うとスポーツの話になりますが、「子供に夢を与えるような選手になりたい」という佐々木選手からはいつも刺激を受けますね。
—— 佐々木選手、ワールドカップを経験してどうでしたか?
佐々木:ますますラグビーが好きになりましたね。僕はフィジー戦に出ましたが、フィジー戦とウェールズ戦に出た選手は日本のラグビーは世界で通用するという手応えを感じたと思います。けど今のままじゃ勝てません。やってるラグビーもやろうとしていることも間違いではないんですが、足りないものがまだたくさんあるという状況です。方向性は間違ってないので、足りないところを埋めていけば世界に通用するところまで達することは可能ですね。とにかく、フランスにいた期間は、とても特別な時間でした。
◆ラクロスの発祥はカナダ
—— ラクロスは世界の中で日本のレベルはどうなんですか?
山田:前回の第7回ワールドカップで10チーム中5位になりました。アメリカがずっと強かったんですが、前回大会は女子はオーストラリアで、男子はカナダが優勝しました。
—— ラクロスはどこが発祥なんですか?
山田:カナダのインディアンです。
—— ラクロスの先進国はどこになるんですか?
山田:カナダ、アメリカ、オーストラリアですね。ワールドカップの女子の順位は、オーストラリア、アメリカ、イングランド、カナダ、日本、ウェールズ・・・の順でした。
—— 日本でのラクロスワールドカップ開催があったんですか?
山田:95年にありました。江戸川でありました。その時は日本は最下位でした。ラクロスのワールドカップはサッカーやラグビーのような華やかなものではなく、予選は大学のグラウンドでやったりしています。お客さんの数も予選なんて両手で数えられる程度の時もありました。決勝はアメリカ対オーストラリアでしたが、その試合はスタンドが埋まるくらい入りました。
—— 世界のラクロスはどうですか?
山田:アメリカとカナダには男子のプロリーグがあります。ラクロスのコートはサッカーコートと同じくらいの大きさで、10人対10人でやるんですが、カナダのリーグは6人対6人でやっていて、アイスホッケーのリンクに人工芝を敷いてやっています。アイスホッケーのフットサルみたいな感じですね。
—— ラクロスはコンタクトもあるんですか?
山田:男子はすごいですね。“陸上の最速の格闘技”と言われています。シュートは160km/hくらい出ます。女子はコンタクトがないようなルールになっていて、男女のルールが違うんです。だからオリンピックの種目にもなりにくいんだと思います。女子の方がプレーヤーの人口は多いんですが、見るのは男子の方が面白いかも知れません。スピード感もありますし、タックルもありなので。
—— ラクロスの魅力とは何ですか?
山田:速くてボールも小さい分、スピーディーに試合が動くというところですね。あとは新しいスポーツということです。自分たちで考えて自分たちがやりたいようにやるということですね。それから今までバスケットをやっていて素手でボールを扱っていたんで、私は道具を使ってボールをキャッチしたりパスしたりするのが面白いと思いました。
(続く)
◆山田 幸代 やまだ さちよ
1982年8月18日滋賀県近江八幡市生まれ
長浜北星高校~京都産業大学~サムライラクロス
[ラクロス歴] ’01関西選抜、’02U-21日本代表、’05女子全日本代表、’05世界大会5位