2007年1月16日
YELLOW FLAG TALK 第2回「栗原 徹 × 田代 有三」
イエローフラッグトーク第2回は、Jリーグ鹿島アントラーズ 田代有三選手をゲストに、サンゴリアスの栗原徹選手が対談を行いました。テーマは「スポーツの垣根を越えて」。
◆前半0分の得点
—— お二人は仲が良いんですね
栗原:はい。僕が今年(2006年)の初めに鹿島アントラーズに慶應大学院生としてインターンシップに行っていたので、その時に仲良くなりました。その環境を用意してくれたフロントの方々には感謝しています。それに今日、この対談に出てくれた有三くんのように、アントラーズの選手は本当にいろんなことに積極的に協力してくれる。すごく素晴らしいと思います。
田代:仲良くなれたことをきっかけに、サッカーやラグビーのスポーツの垣根を越えていろんな話ができたらいいですね。
栗原:テーマとはちょっと関係ないかもしれないんだけど、有三くんてラグビー体型だよね。僕の〝サッカーマニア〟的な発言をすると、サッカー選手にしてはごつい方だと思う!
田代:そうですね、身長180cmで77kgあるのでサッカー選手の中ではごつい方かもしれないです。でも上半身はそうでもないんですよ。
栗原:サッカー選手としては充分だと思うな。ラガーマンに比べればまだまだかもしれないけど。じゃあ、上半身をもっと鍛えてラグビーもやってみなよ。ぜひ!ラグビーへ!(笑)
田代:今から上半身だけがんがん鍛えて、いきなり「サッカーから辞めてラグビーに転向しました!」って言ったらかなり話題になりますよね(笑)
—— 最初からプロを目指してサントリー、アントラーズへ行こうと思ってたんですか?
栗原:そうですね、サントリーしか考えていませんでした。実は高校の時に一度「ラグビーをやめようかな」って思ったことがありました。そう思って監督に言いに行こうとしたら、「今監督すごい機嫌悪いからやめた方がいいぞ」って言われて言うのをやめました(笑)。それからしばらくたって、気がついたらずっとラグビーやってた(笑)。大学に入ったら気持ちが変わって、大学を卒業してもラグビーをやりたいと思ってました。日本代表に選ばれたりして、そこで一緒だった先輩から誘われて、サントリーに行こうと決めました。だから、サントリーしか考えてなかったといってもいいかもしれません。
田代:僕はサッカーを小学校から始めたんですが、「プロ」を意識するようになったのは高校生くらいです。大学は自宅から通える福岡大学を選びました。そこから本格的に自分の中で「プロ」を目指し始めて、特別強化指定選手として3年生の時に大分トリニータ、4年生の時にサガン鳥栖で経験を積ませてもらいました。あまり試合に出ることはなかったんですが、練習だけでも本当に良い経験になっています。卒業の時にいくつかクラブから声をかけてもらいましたが、いろいろな話を聞いて、僕の中でアントラーズが自分にとって1番いいクラブだと思ったし、「アントラーズのレギュラー=日本代表」というイメージが強かったんです。僕に足りない部分も含めてたくさん学べることがあるかなと思い、アントラーズに決めました。
栗原:有三くんはこれからもっともっと活躍していくと思います。また"サッカーマニア"的な発言だけど(笑)。ここ何試合かですごく点を取ってるよね。
田代:そうですね、ナビスコカップが終わった次の天皇杯から点を取れるようになりました。前半に点を取れているので、試合や自分の流れが掴みやすいです。これからもそれがずっと持続できるようにがんばらないと。
栗原:大宮戦(2006 J1リーグ戦 第31節)の時の1点目って、前半0分だったよね?ちょうどネットを見ていて「前半0分?!」って叫んで、思わず有三くんにメールしました。
田代:試合中にメールもらっててびっくりしました(笑)。ありがとうございます。
◆1試合3~5kg減る
—— サッカーやラグビーは遠征がありますよね
田代:アントラーズはアウェイでもホームでも前泊なんです。ホームの時は試合の前日に1度家に帰宅しても、夜10時までに寮に戻るという決まりがあります。満男さん(小笠原満男)がいた時は、アウェイだとよくゲームを一緒にやっていました。今はみんなで食事の時に話して、あとは部屋にいたりします。夏だと19時からの試合が多いので、試合当日は時間が空いてしまいますね。試合前の食事がだいたい4時間前なんですが、冬だと14時、15時からの試合になるので調整しやすいんですけど、夏はそれが難しい。夏に九州とか遠くへ行く場合には、後泊もあります。試合が終わった後は選手同士でご飯を食べに行って、息抜きしたりもしてます(笑)
栗原:人によって方法は違うと思うんだけど、息抜きって大切だよね。僕は今まで遠征は広島に1度しかないんだけど、親父の実家が広島だから親戚回りしてた(笑)。アントラーズって試合前の食事って決まってるの?
田代:決まってます。ステーキと魚と、あとサラダです。僕はほとんどステーキなんですが、食べ過ぎるとたまに重たいなって・・・。サンゴリアスも決まってるんですか?
栗原:サンゴリアスは宿泊先のホテルのビュッフェかな。肉は、牛はあんまりなくてほとんど豚。僕は朝からあんまり食べられないんですよ。昔サントリーは「朝は食べる」みたいな教えがあって、食べない時はよく怒られたりしてたんですけど、外国籍選手がきて「ソンナニタベラレナイヨ~」って言ってくれたので(笑)、今はほとんど自由になりました。
—— 宿泊の時は1人部屋なんですか?
田代:はい。キャンプの時とかは2人部屋なんですけど、試合の時は1人部屋です。サンゴリアスも1人部屋ですか?
栗原:そうだね、1人部屋。練習が終わってからちょっと早めにホテルに入るんだけど、ミーティングが21~22時まであるから意外と時間がなかったりして。だから特に、他の部屋にいって何をするとかはないな。でも、サッカーってシーズンが春から始まって冬まででしょう。夏は暑くてきついでしょ?
田代:きついですね。でもまだ19時からなので耐えられてます。冬でも1試合3kg、夏だと5kgは体重が減りますね。水やスポーツドリンクをすごい飲んでしまいます。
栗原:そうそう!それでやけに吸収するものだから2時間ぐらいしたらすごくトイレに行きたくなって、そこから何回も行っちゃう(笑)。
◆サッカーもラグビーも、もっと盛り上げていきたい
—— お2人はプロとしてスポーツをされていますが、プロということをどのように感じていますか?
栗原:プロを目指すとか、プロ化するということが1番だとは思わないけど、やっぱりラグビー人としてはもっともっと盛り上がって欲しいと思います。
田代:本当ですね。アントラーズに入る前はテレビや雑誌で見ていた「全盛期のアントラーズ」しか知らなかったじゃないですか。だから、その時に比べたら観に来てくれる人も減ってると思います。でもそれは、その時を知っている選手も知らない選手も全員が思っていて、危機感を感じています。ヒーローというか、「絶対的な何か」がないと、お客さんも来ないんだなって。
栗原:サンゴリアスでは、今回有三くんにも協力してもらってる「イエローフラッグプロジェクト」というのをやっています。選手たちがスクラムを組んでいろんな事をやっていこう、という企画なんだけど、その中で「○○(選手名)シート」を募集して子供達を招待したりしています。試合が終わったらそのままスタンドに行って握手したりとか。
田代:それはいいですね。アントラーズでもスタジアムツアーとかやってます。ピッチに立って選手の気持ちになったり、記者会見室に入ったり、ロッカールームで試合前の雰囲気を感じたりできます。選手の招待シートなどを設けて子供達を招待している選手もいます。また、選手は個人的にサッカー教室を開いたりしていて、僕も何回か行きました。
栗原:僕は1度アントラーズのスタジアムツアーのアテンドをやった事があるよ(笑)。子供たちが喜んでいるのを見ると、アテンドやって良かったなって思った(笑)。
田代:それはかなり貴重ですね。プロのラグビー選手によるサッカースタジアムのアテンド。
栗原:あとは、やっぱり地域密着だよね。すごく大切。地元の人に応援してもらいたいし、喜んでもらいたいよね。
田代:そう思います。普段の練習でも毎回観に来てくれる人がいて、ファンやサポーターの方には本当に感謝しますね。
栗原:いつもサンゴリアスの応援をしてくれていて、練習も観に来て僕のことを応援をしてくれている人がいたんだけど、試合の後に「いや~惜しかったね!」とか、結婚した時も「栗原くん、おめでとう!」って言ってくれた(笑)。そんな言葉をかけてもらえて嬉しかったです。でも、有三くんはさっきも言ったけど、これからどんどん活躍していくと思うし、日本代表にも選ばれるようにがんばってほしい。
田代:ありがとうございます。ナビスコカップは残り5分ぐらいで出させてもらったんですけど、ああいう点を取らなければならない場面でこそ、とくに点を決められるようになりたいです。自分の自信にも繋がっていくと思うし、何より応援してくれるサポーターのみんなに喜んでもらえると思います。もっとたくさんのお客さんが「観たい!」と思って来てくれるようになるためにも必要ですよね。
栗原:じゃあ、ゴールを決めたら次の試合にゴール数だけ「有三シート」つくって、招待するとか。
田代:それはいいですね~!考えてみます。
栗原:サンゴリアスの試合にも「有三シート」つくろうよ(笑)。
田代:アントラーズの試合には「栗原シート」ですか(笑)。
栗原:でも、せっかくこういう機会があるんだから、これを見て有三くんやアントラーズを応援してくれる人が増えたらいいな。
田代:それは嬉しいですね。サンゴリアスのファンの方がアントラーズも応援してくれて、アントラーズのファンの方がサンゴリアスも応援してくれる。そうなれるように、サッカーもラグビーももっと盛り上げていきたいですね。