試合日程・結果

GAME

第72回黒鷲旗 全日本男女選抜バレーボール大会(決勝)

開催日時
2024年5月 6日(月) 14:05
会場
Asueアリーナ大阪
サントリーサンバーズ大阪
サントリーサンバーズ大阪

3

  • 25-21
  • 21-25
  • 25-17
  • 26-28
  • 15-11

WIN

2

パナソニックパンサーズ

試合経過

 黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会決勝。3年連続でこの舞台にたどり着いたサンバーズは、Vリーグとの二冠を狙い、パナソニックパンサーズと対戦した。

 試合の立ち上がりから、Vリーグファイナルの雪辱に燃えるパナソニックの堅い守備に、サンバーズのスパイクが阻まれ先行される。相手はアラインをサーブで徹底的に狙い揺さぶりをかけてくる。それでも、頼れる主将・大宅のブロックで7-6と逆転。さらに、大宅は巧みなツーアタックを決めてコートを落ち着かせた。ムセルスキーのスパイクや柏田、鬼木のクイックで攻撃のリズムを作り、大宅の2本目のブロックが出て14-11と引き離す。さらに、ムセルスキーのカウンターアタックでリードを広げた。

 終盤は互いに好守備が出て白熱した攻防が続く中、リリーフサーバーの髙橋のサーブから、大宅が好守備で粘り、最後は鬼木がクイックを決めてラリーを制しブレイク。ムセルスキーの強烈なサービスエースで22-17とリードを広げ、セットを先取した。

 第2セットはサンバーズのブロックと守備が機能し、ムセルスキーのスパイクなどで得点につなげて3-0と好スタートを切る。しかしサービスエースを奪われるなど、サーブに崩され追いつかれると、中盤にはブロックに捕まり12-13と逆転された。それでも鬼木や柏田のクイック、アラインのパイプ攻撃でサイドアウトを重ね、ムセルスキーのブロックで16-15と逆転。ところが終盤、再びパナソニックの強力なサーブと粘りに流れを変えられて連続失点し、セットを奪われた。

 第3セットはアラインのサーブで揺さぶり、藤中謙のブロックでラリーを制し5-3と先行。大宅のサーブで崩し、ムセルスキーのスパイクで切り返したり、藤中謙のこのセット2本目のブロックで9-5とリードを広げた。中盤には喜入が懸命につないだボールをムセルスキーが叩き込んで14-8。このセットもリリーフサーバーの髙橋のサーブから、アラインのパイプ攻撃でブレイクし17-10と引き離した。その後もムセルスキーやアラインのサーブで攻め、アラインのブロックや鬼木のクイックでブレイクして点差を広げ、セットを奪った。

 第4セットは再びパナソニックの粘りに苦戦し先行されるが、第3セットから入った佐藤が強烈なCクイックを叩き込んで流れを引き寄せ、ムセルスキーのブロックで8-8と追いつくと、佐藤のサーブで崩し、鬼木のクイックでラリーを制して10-9と逆転。しかしパナソニック深津英臣のサーブに揺さぶられ、立て続けにブレイクされて12-14とリードされた。それでも大宅のブロックで14-14の同点に。互いにサイドアウトを繰り返す緊迫した展開で終盤に突入するが、アラインが狙いすましたサーブでノータッチエースを奪い20-19と逆転した。ところがそこからパナソニックが粘りを発揮。好守備から切り返されて22-23と逆転された。デュースに持ち込むが、最後はパナソニックの鋭いサーブにエースを奪われ、試合をフルセットに持ち込まれた。

 第5セットは互いにサイドアウトを奪い合う。サンバーズはムセルスキーや藤中謙のスパイクで得点を重ねていく。中盤、藤中謙の力強いサーブで崩してラリーをものにし7-6と逆転。しかしパナソニック西山大翔の強力なサーブに崩され、西山に立て続けにカウンターアタックを決められ8-10とリードされた。それでも諦めないサンバーズは、ムセルスキーのサーブで攻め、喜入の好守備からムセルスキーが豪快にブロックを弾き飛ばし10-10の同点に。再びムセルスキーが強烈なサーブで崩し、相手にスパイクミスが出て11-10と逆転した。ムセルスキーが体を投げ出してボールをつなぎ、藤中謙のブロックでラリーを制して13-11と抜け出すと、アラインのサーブで攻め、今度は大宅がブロックで仕留めてマッチポイントを握る。最後はパナソニックのスパイクがアウトになり15-11でゲームセット。

 セットカウント3-2で激戦を制し、コート上に今季2度目の歓喜の輪が広がった。

 大宅主将は「今大会は、出場できるメンバーがリーグの時とほとんど変わっていないのがうちのチームぐらいだったので、周りから『勝って当たり前』と思われていることが、想像以上にプレッシャーになっていた。その中で勝ち切る難しさを今日一番感じながら試合をしていました。5セット目、リードされても諦めずに、自分たちを信じてバレーできたので、また次につながる試合だったのかなと思います」と安堵の表情だった。

 今大会前にテストマッチをしていたこともあり、パナソニックはサンバーズを徹底分析し、試合の立ち上がりからデータを踏まえた堅いブロックとディグでサンバーズの攻撃を幾度も阻んだ。

「なかなか1本で決めさせてくれない状況が多かったんですけど、そういう姿をパナソニックが序盤に見せてくれたおかげで、やっぱやらなきゃいけないなと火がついたし、今日は抜けてきたボールにしっかり食らいついて、ディグで貢献できたと思う」と大宅。

 粘りを発揮する相手に対しても、ムセルスキーが勝負所でスパイクを決めきり、ミドルブロッカーの鬼木が80.0%という高いスパイク決定率を残した。

 MVPを獲得したムセルスキーは、「非常にいいシーズンで、優勝するにふさわしいシーズンだったと思う。今日の試合は、見ている人にも楽しんでもらえた試合だったのかなと思います」と穏やかに語った。

 来季に向けても期待がかかる鬼木は、「今シーズンの締めくくりの試合なので、すごく楽しみながらやれたんですけど、パナソニックはすごく強くて。厳しい試合でしたけど、全員で勝ちきれてよかった。今大会は2日目から今日まで5日間フル出場しましたが、コンディション管理が自分なりにうまくできたのは収穫。でも来シーズンまでにはもっとブロックを強化しないといけないと感じました」と前を向いた。

 試合後は、今大会限りで退任する山村監督が仲間たちの手で胴上げされた。

 山村監督への思いを、大宅はこう語った。

「僕はキャプテンになってからバレー人生が少し変化し始めたと思っているんですが、監督は僕をキャプテンに任命してくれて、そのきっかけを作ってくれた方。監督のすごいところは、今日が最後だからって、それを僕らに一切意識させないところ。今朝のミーティングもいつも通り進められていて......。選手のことをまず第一に思ってくれている監督だなと、最後に改めて感じました」

 その山村監督は「フルセットのサンバーズと呼ばれるチームの監督にふさわしい最後だったのかな」と笑った。

 4シーズンに渡り監督を務め、その間リーグで3度優勝、黒鷲旗でも2度優勝し、常勝チーム復活を印象づけた。

「今大会で一旦監督からは離れますが、僕はここで終わりだとは思っていなくて、また新しいスタートだと捉えています。バレーボールから離れるつもりはありませんし、今後も少しでもバレー界の発展のために尽力できるような活動をしていきたい。さらに力をつけて、また必要とされる人材になって、この舞台に帰ってきたいなと思っています。これからメンバーやスタッフが変わっていく中で、新しい色が見えてくると思うので、それも僕は楽しみですし、これからのサンバーズにも期待しています」

 2年ぶりにVリーグ、黒鷲旗の二冠を達成して2023-24シーズンを締めくくったサンバーズ。SVリーグがスタートする来シーズンも、新たなカラーを取り入れながら"常勝"を継承していく。

2023/24シーズン

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