第71回 黒鷲旗大会 全日本男女選抜バレーボール大会 グループ戦
日本体育大学戦
- 開催日時
- 2023年5月 1日(月) 17:00
- 会場
- 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
2
- 25-17
- 25-23
WIN
0
試合経過
<試合経過レポート>
Vリーグファイナルから約1週間。黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会が開幕した。連覇を目指すサンバーズは、グループ戦初戦で日本体育大学と対戦した。
第1セット序盤、勢いのある日体大のサーブに崩されるが、セッターの山本がカバーし、ムセルスキーがスパイクを決めてブレイクを許さない。秦の好守備から、鍬田がカウンターアタックを決めて4-2と先行。再び秦がコート後方で好守備を見せてつなぎ、ムセルスキーのブロックでラリーを制し8-4とリードを広げた。中盤も鍬田のスパイクなどでサイドアウトを重ね、彭のブロック、サービスエースで15-9と点差を広げる。終盤にも、鍬田の強力なサーブで崩し、秦のカウンターアタックなどで引き離す。終盤にはルーキーのミドルブロッカー鬼木がコートに入り、母校を相手にサンバーズデビューを果たした。さらに、セッター西田とともに二枚替えでオポジットに入った鳥飼もスパイクを決め、サンバーズがセットを先取した。
第2セットも秦のスパイクなどでサイドアウトを重ね、彭のサーブで揺さぶり、連続得点を奪って8-4とリードした。ところが徐々に追い上げられ、中盤、ミスが出て11-11と追いつかれた。さらに、勢いづく日体大の強力なサーブに2本のエースを奪われ15-17とリードされた。
それでも、その劣勢でコートに入ったサンバーズ初出場の髙橋塁が流れを変える。味方の得点が決まるたびに走り回り、19-21でサーブが回ってくると、パワーあふれるサーブを打ち込んで崩し、相手のミスを誘って連続ブレイクを奪い21-21と追いついた。さらに、エンドラインぎりぎりにノータッチエースを決め22-21と逆転。これが髙橋塁のサンバーズ初得点となった。その後は、日体大の強力なサーブも髙橋塁がきっちりとセッターに返し、鍬田やムセルスキーのスパイクでサイドアウトを重ねる。最後は相手のスパイクを鍬田がシャットアウトし25-23でゲームセット。セットを奪われることなく、セットカウント2-0で勝利し(グループ戦は3セットマッチ)、好スタートを切った。
この試合は、サンバーズでのデビュー戦となった選手や、久しぶりに試合に出場した選手の活躍が光った。
先発出場したリベロの喜入は、今シーズン、リーグでは一度も出場機会がなかったが、久々の出場となった第1セット、安定したプレーでコートに落ち着きを与えた。
「久々すぎて硬かったですね。でも落ち着いているように見せかけて(苦笑)。この年齢になってくると、(鍬田)憲伸とか(佐藤)謙次とか、年下が多いので、(鶴田)大樹さんもそうだったように、精神的支柱というか、態度だけでもアタフタしないようには心がけました。ミスが出たところは課題ですが」
リーグでは、ベンチから常にチームを盛り上げたり、リベロの藤中颯をサポートする声を出し続けた。
「試合に出られないのはすごく悔しかったし、出たい思いはもちろんありました。でも選ぶのは監督なので、今自分ができることを考えてやるだけ、というふうに思ってやっていた。自分が頑張りつつも、颯志もまだ若いし1年目なので、ストレスがないように、乗っていきやすいように、そういうことは意識しました。自分でも、こういう世界向いてないなとたまに思うんですよ(苦笑)。もっと試合に出たい気持ちをむき出しにして、ガツガツ行かないといけないのはわかっているんですけど、出し方がよくわからない。現状の中で自分ができることを探してやってきました。でもそれに満足してはいけないし、選手である限り試合に出てなんぼなので」
今シーズン抱えてきた複雑な思いをこの日はコートでぶつけた。
第2セット終盤には、2年目を迎えた髙橋塁が待ちに待ったサンバーズデビューを飾り、チームを逆転に導くサーブやサーブレシーブで貢献。試合後のコートでは「ルイ・ルイ・ルイルイルイ」という塁コールでチームメイトに祝福された。
試合後は「緊張したー!勝ってよかったー!」と安堵と喜びで満面の笑顔。
第2セット16-17のビハインドの場面での出場だったが、「もう、点数は見ていなくて、とにかく自分のやるべきことをやろうと思って入りました」と集中していた。
「最後、サーブで雰囲気を戻せたのは大きかったと思うのでよかったです。自分は一つサーブを武器にしていきたいなというのがあったので。今までやってきたことを出し切ろうと思って、力まず、いいトスを上げて打てました。サーブレシーブも、普段からアラインやディマ(ムセルスキー)のサーブを受けているので。
(入団から)1年待ったんですけど、怪我から復帰して、やっと出場できた。めちゃくちゃいい緊張感とうれしさがありました。あっという間でしたけど、すごく楽しかったです。リーグ中は出られなくてすごく悔しかった。『お、塁やるなー』というのを、お客さんもそうですけど、チームメイトにも、初めて試合で今日見せられた。できるんやぞというのをアピールしたかったので、よかったです。次も頑張ります」
試合でしか得られない自信や喜び、新たな課題の発見がある。多くの選手がそれを手にしたこの初戦は、きっとこの先につながる。