試合日程・結果

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第70回 黒鷲旗大会 全日本男女選抜バレーボール大会 決勝戦

開催日時
2022年5月 5日(木) 14:00
会場
丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
サンバーズ
サンバーズ

3

  • 25-19
  • 26-24
  • 25-20

WIN

0

ジェイテクトSTINGS

スターティングメンバー

喜入 祥充

リベロ

リザーブメンバー

試合経過

 黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会6日目・決勝。サンバーズは大会連覇と今シーズン二冠目をかけて、ジェイテクトSTINGSと対戦した。

 第1セットの立ち上がり、準決勝からサーブ好調の柳田が、この日も強烈な先制パンチを相手に見舞う。いきなりサービスエースを奪って2-0と先行。さらに、好守備をムセルスキーが得点につなげて3-0とスタートダッシュに成功した。その後は小野、彭のクイックでサイドアウトを重ねていく。中盤には柳田がレシーバーの間を狙って2本目のサービスエースを奪い11-6と点差を広げた。サーブレシーブを崩されて追い上げられるが、小野のサーブで揺さぶり、藤中、彭、ムセルスキーの3連続ブロックなどで16-8と一気に大差をつけた。サンバーズのスパイクを拾われて切り返され18-14と追い上げられるが、藤中のパイプ攻撃などで流れを取り戻し、小野が強力なサーブでエースを奪って23-17と再び引き離し、サンバーズがセットを先取した。

 第2セットも立ち上がりに柳田が強烈なサーブを打ち込んで小野のクイックで切り返す。しかしその後、ジェイテクトの好守備から得点されたり、ブロックに捕まり2-4と先行され、スパイクミスが出て5-8とリードされた。小野やムセルスキーのスパイクでサイドアウトを重ねるが、中盤、サービスエースを奪われ9-13と再び点差を広げられる。それでも藤中や柳田のスパイク、彭のクイックなどでサイドアウトを重ね、ムセルスキーのカウンターアタックで15-18。ムセルスキーのノータッチエースで17-19と迫った。さらに終盤、リリーフサーバーの鍬田が強力なサーブを打ち込み、高橋結の好守備をムセルスキーが得点につなげたり、相手のミスが出て20-20の同点に。柳田が巧みなフェイントを決め21-20と逆転した。
 ジェイテクトのサーブに押され、ブロックに捕まり22-23と逆転されるが、柳田のスパイクで流れを引き寄せると、小野が相手のクイックを1枚でシャットアウトし24-23と逆転。デュースに持ち込まれるが、柳田のサーブで崩し、西田の守備から、柳田がツーでバックアタックを叩き込んで接戦を制し、サンバーズがセットを連取。優勝に王手をかけた。

 第3セットは連続サービスエースを奪われ1-4と出遅れたが、ムセルスキーのサーブで崩し、彭のブロックで仕留めて4-5と追い上げる。さらに、西田の好守備をムセルスキーが得点につなげて8-8と追いついた。しかしサンバーズのスパイクをブロックやディグで拾われて切り返されて再び先行され、強力なサーブでエースを奪われて9-12とリードされた。それでも、ムセルスキーのスパイクでサイドアウトを重ね、ジェイテクトのスパイクを堅いブロックとディグで拾って切り返し14-15と追い上げる。さらに、ブロックのワンタッチでチャンスを作ると、ムセルスキーが次々にカウンターアタックを決め、4連続得点で18-16と一気に逆転。ムセルスキーのブロックで19-16と点差を広げた。終盤には柳田が強力なサーブを打ち込み、ムセルスキーがカウンターアタックを決め21-17と引き離す。さらにムセルスキーのサービスエースで点差を広げ、25-20でゲームセット。セットカウント3-0で勝利し、サンバーズが2大会連続9回目の優勝を果たした。Vリーグに続き、今シーズン2冠目を獲得した。

 決勝は、昨季のリーグ、今季のリーグに続き3度続けてものにした。この日も第2、第3セットは中盤までリードされる展開だったが、終盤に逆転。主将で正セッターの大宅が日本代表合宿に参加のために不在で、リベロの鶴田が引退するなどリーグとメンバーは変わっても、勝負強さを発揮した。
「このチームは常に戦う精神、諦めない気持ちを持っているからこそ、それができる。難しい場面でも最後の最後まで、自分のいいプレーを追求し続ける。それがサンバーズらしさだと思う」とムセルスキーは胸を張る。頼れる大砲は、65.8%という高いスパイク決定率で両チームトップの29得点を挙げ、最高殊勲選手に輝いた。
 大宅に代わって今大会で主将を務めた柳田はこう分析する。
「自分たちそれぞれの役割が、どんな局面でもはっきりしていた。それは今回のチームも、リーグ中のチームも変わっていなくて、そこに対する迷いはなく全員が連携して動けていた。例えば、トランジションのチャンスがあったら、ハイボールでしっかりムセルスキーに打たせたり。それは自分たちの強みであることは間違いないので、自分たちが悪い状況になった時に改めて立ち返って、ステップを踏めたところが連続得点につながった。難しい状況でも、自分たちがやれるベストでシンプルな選択肢を常にチョイスして、得点につなげることができました」
 優勝を決めた瞬間、今大会の6試合、1人でトスを上げきった西田は思わず感極まり、ユニフォームで涙を拭った。
「リーグ優勝の後、大宅さんが代表合宿に行ったので、黒鷲旗は自分が1人で回していかなきゃいけないというプレッシャーはあったんですけど、覚悟を決めて練習に取り組んできて、無事に結果を残すことができたので、涙が出てきてしまいました」と安堵の表情で語った。
 大会を通して、課題だったクイック、パイプを積極的に使えるようになっていたが、「今日は決勝ということで多少緊張して、自分が上げやすいところに上げてしまっていた」と反省も忘れない。
 リーグでは出場機会の少なかった若手選手も戦力に取り込みながら勝ち抜いた6連戦の収穫を、山村監督はこう総括した。
「西田には『お前しかいないんだぞ』と、リーグ優勝チームのセッターとしてかなり重たいものを背負わせて大会に臨んでいましたので、彼がそれに打ち勝ったことは大きな収穫でした。ただ決勝では、プレッシャーがかかった中で普段通りのプレーをする難しさを感じたと思う。リベロの喜入、高橋結についてはいろいろな形で起用してきましたが、正直トップリーグでやっていくためには、スキル的にも精神的にも物足りなさが先行している。長いシーズンを2人で戦っていくためには、かなりのレベルアップをしていかなければ。試合後に喜入が『優勝はできたけど僕自身まだまだです』と言っていたように、彼らの成長なくしては、我々がずっと上位を狙うチームであり続けることは難しい。グループ戦でもいろいろな選手を使うことができたので、各選手にどんな課題やストロングポイントがあるのかなど、僕にとっても収穫の多い大会でした」
 今大会で自信をつかんだ選手、悔しい思いをした選手、それぞれが来シーズン、どのように成長した姿を見せてくれるのか、楽しみになる大会でもあったが、サンバーズの今シーズンはまだ終わってはいない。5月15日から、日本を代表してアジアクラブ選手権(イラン)に出場する。シーズン当初から、アジアを制覇し、世界クラブ選手権の出場権を獲得することを目標にしてきた。山村監督は言う。
「特にイランのチームは各国の代表レベルの助っ人外国人を数多く集めていると聞いている。世界トップクラブと言えるぐらいのチームと戦えることは、間違いなくモチベーションになりますし、選手たちもかなり楽しみにしている。そこに対してどんなバレーボールができるのか。我々にとって大きな財産になるんじゃないかと思っています」
 今シーズン三冠を目指して。サンバーズの戦い、楽しみはまだまだ続く。

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