2020-21 V.LEAGUE 大阪HG JTサンダーズ広島戦
- 開催日時
- 2020年11月27日(金) 19:00
- 会場
- 丸善インテックアリーナ大阪
3
- 25-19
- 18-25
- 28-30
- 25-19
- 15-11
WIN
2
試合経過
2020-21V.LEAGUE DIVISION1レギュラーラウンド第11戦。ここまで8勝2敗の3位サンバーズは、ホームに4位JTサンダーズ広島を迎え、今シーズン初のナイターゲームに臨んだ。
試合の立ち上がり、サンバーズは小野の高さのあるクイックで勢いよくスタートすると、藤中のサービスエースで先行し、ブロックのワンタッチからムセルスキーがクイックで切り返して4-0とスタートダッシュに成功した。その後も、小野の強力なサーブでチャンスを作り、塩田のクイックで得点し6-1と点差を広げる。中盤も、塩田のダイレクトスパイクや柳田のパイプ攻撃、ムセルスキーのカウンターアタックで13-5と大差をつけた。JT広島のブロックやサービスエースで点差を詰められるが、ムセルスキーのスパイクで流れを切り、サンバーズが大差でセットを先取した。
第2セットは、JT広島の堅い守備に粘られてなかなか得点につなげられず、ミスが出て先行された。中盤にもミスが続いたり、JT広島のブロックで10-13とリードされた。それでも、柳田のサーブでプレッシャーをかけ、ムセルスキー、藤中のカウンターアタックで連続得点を奪い13-13の同点に。しかしクイックがブロックに捕まり再び先行される。サンバーズはサーブからのブロックディフェンスが機能せず、追い上げることができない。足が動かずにボールが落ち、終盤はミスから連続失点し、セットを奪われた。
第3セットもJT広島に先行されるが、柳田のサーブで崩して塩田のブロックでしとめ、4-4と追いついた。その後は柳田、ムセルスキー、藤中のスパイクでサイドアウトを重ねるが、中盤、サービスエースを奪われてリードされると、JT広島の守備に粘られてサンバーズのスパイクが決まらない。拾われて切り返されたり、粘り負けしてミスを出し12-16と点差を広げられた。それでも、ムセルスキーのカウンターアタックや、藤中がサイドラインぎわにノータッチエースを決め16-17と追い上げる。さらに、途中から入った加藤のブロックなどで粘ってムセルスキーがスパイクを決め17-17と追いついた。終盤、再びリードを許すが、西田のサーブで崩し、ムセルスキーが得点につなげて23-23。藤中のブロックでピンチをしのいでデュースに持ち込む。しかしサンバーズはブレイクのチャンスでスパイクミスが続き追い抜けず、最後はムセルスキーのスパイクがアウトとなり、セットを連取された。
後がなくなった第4セットは、柳田が次々に強烈なスパイクを決めて勢いをもたらすと、加藤がクイックを決めて8-7でテクニカルタイムアウトを迎える。中盤はムセルスキーのカウンターアタックで10-8とリードし、柳田や加藤のブロックで相手にブレイクを許さない。藤中がブロックのタッチから自らカウンターアタックを決め15-12とリードを広げた。終盤には、ムセルスキーに代わってコートに入った栗山と柳田の連続ブロックで19-13と点差を広げた。追い上げられるが、栗山のスパイクで流れを切ると、加藤がサーブで揺さぶって相手のミスを誘い22-17と再び引き離す。その後も藤中のパイプ攻撃などで点差を広げ、サンバーズが試合をフルセットに持ち込んだ。
第3セットまでは守備が機能せず、逆にJT広島の堅い守備に苦しんだが、第4セットからサンバーズの守備が機能し始めた。これまでは、サンバーズの強みであるムセルスキーのブロックを軸にブロックとディグを仕掛けて機能していたが、この日のJT広島には、「ディマ(ムセルスキー)がいることによって逆に裏をかかれて、そこへの対応が僕らにできなかった」と藤中は言う。「でも栗山さんたちが代わって入ってきたことで、正面にしっかりターゲットを置いて各自のやることに集中できたから、ブロックも出てきたし、ディグにも入りやすくなった」と分析する。
第5セットはその藤中の好守備を柳田が力強いスパイクで得点につなげて好スタートを切る。栗山がサーブで揺さぶり、藤中が好守備でチャンスを作ると、柳田、栗山が立て続けにカウンターアタックを決め6-2とリードを広げた。その後も柳田のパイプ攻撃や藤中のカウンターアタックで流れを渡さず11-5とし、藤中のノータッチエースも決まった。終盤追い上げられるが、最後は柳田がスパイクを決めて締めくくり、サンバーズが逆転で、フルセットの接戦を制した。
この日は苦しい時間帯が多い中、藤中が終始安定したサーブレシーブでチームを支え、スパイクでも54.2%という高い決定率を残し、好守備も連発した。
そして途中からコートに入った選手たちがチームを救った。この日はムセルスキーが不調で、前半は得点を取りたい場面で取れないもどかしい展開が続いたが、第4セット途中から代わって入った栗山が、相手ブロックを利用しながら小気味よく得点を重ね、モヤモヤした展開を吹き飛ばし、逆転勝利につなげた。
また、第3セット途中から入ったミドルブロッカーの加藤もチームに勢いをもたらした。
山村監督が「彼の持ち味はムードメイク」と期待した通りに、加藤は得点が決まるたびに走りまわり、3本のブロックポイントも挙げ、指揮官は「雰囲気を変えてくれたし、プレーもよかったので、期待以上の活躍だった」と讃えた。
その加藤は試合後、「とにかく走って、ムードを変えることが仕事だと思った。結果的に4、5セット目を取れたので仕事ができたかなと思いますし、勝利につながったのが何よりです」と安堵の表情だった。
ただ、「クイックの本数が多くなかった(3本)し、大事な場面でトスが上がってこなかった。まだ信頼が足りないということ。特にムセルスキーが交代して、日本人選手だけで戦う時にはクイックとパイプが生命線になるんですけど、僕のクイックが使えないとリズムが悪くなるし、相手のブロックも僕につかなくなる。練習からもっと決定率を上げれば、セッターの西田も大宅もいい時にトスを上げてくれると思うので、その課題を改善していきたい」とさらに上を目指す。
山村監督が、「今季のサンバーズの強い部分と弱い部分の両方が出た」と振り返ったこの試合。
柱のムセルスキーが不調の中、劣勢を跳ね返して勝利できたのは、外国人選手がいない中で開幕2連勝できた自信がベースにあったから。一方で、監督はこんな見方を語った。
「ディマがコートを離れたことで、他のサイド陣にスイッチが入った。今季はディマに依存するのではなく、ディマと共存して日本人選手がどう成長するかがターゲットで、優勝するためにはそれが必要と言ってきています。でもどうしても試合が始まるとディマに頼ってしまい、彼が交代しないと他の選手にスイッチが入らないというのは課題」
頂点に立つためにはどうしてもクリアしなければならないテーマだ。そうした課題が見えながらも勝利できたことをプラスに捉え、次戦、ホーム・丸善インテックアリーナ大阪で連勝を目指す。