2018-19 Vリーグ ファイナル6 東京大会
- 開催日時
- 2019年3月23日(土) 15:00
- 会場
- 大田区総合体育館
3
- 17-25
- 25-16
- 22-25
- 25-17
- 15-11
WIN
2
リザーブメンバー
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小野 遥輝
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松林 憲太郎
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岡本 祥吾
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秦 耕介
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塩田 達也
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喜入 祥充
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小川 猛
試合経過
2018/19Vリーグ・ファイナル6はいよいよ最終週。サンバーズは、ファイナル6首位ですでにファイナル進出を決めているパナソニックパンサーズと対戦した。この試合の前に東レアローズ、JTサンダーズが勝利してサンバーズを2ポイント上回ったため、サンバーズは勝たなければファイナル3進出の可能性が断たれてしまう。
第1セットはパナソニックにサービスエースを奪われて0-2と先行されるが、ムセルスキーや米山のスパイク、鈴木のクイックでサイドアウトを重ねる。しかし中盤、サンバーズのスパイクを拾われて切り返され6-10とリードを広げられた。さらに、3本のスパイクミスが出て6連続失点となり、6-14と引き離されてしまった。鈴木やムセルスキーのブロックで追い上げ、終盤コートに入った小野が勢いよくクイックを決めるが追い上げきれず、大差でセットを先取された。
しかし第2セットは小野が力強いサーブでノータッチエースを奪って2-0と勢いをつけ、逆の展開に持ち込む。栗山のカウンターアタック、ムセルスキーのノータッチエースで5-1とリード。鈴木のサーブで崩し、米山のスパイクでラリーを制して8-3と点差を広げた。その後もムセルスキーのカウンターアタック、鈴木の連続サービスエースで連続得点を5に伸ばし11-3と大差をつけた。
ムセルスキーが、「勝ちたい気持ちはすごく大きかったけれど、みんな、最後の試合になるかもしれないと、1セット目はナーバスになっていると感じた」と振り返るように、最初は硬さが見られたが、「結果やポイントは気にせず、とにかく試合を楽しみながら自分のベストを尽くす」と平常心だったムセルスキーがチームの大きな支えとなった。
中盤以降も米山、ムセルスキーがサービスエースを奪い相手に追い上げを許さない。終盤には、守備固めで入った喜入がパイプ攻撃を仕掛けて会場を沸かせたり、二枚替えで入った小川も力強いバックアタックを決めて流れを渡さず、最後は鈴木のクイックで締めてセットを取り返した。
第3セットは、米山の好守備からムセルスキーが強烈なバックアタックを決めて4-2と先行する。その後、追いつかれるが、中盤、ムセルスキーが強烈なサーブを相手コートに突き刺し11-8とリードした。しかしパナソニックのサービスエースなどで12-12と追いつかれる。さらに、サーブレシーブを崩されてブロックに捕まり13-14と逆転された。その後もサーブレシーブを崩されて点差を広げられる。それでもサンバーズは食らいつく。小野のクイックで連続失点を断ち切ると、ムセルスキーが強烈なサーブでエースを奪い18-19と迫った。米山に代わって入った喜入が前衛でスパイクを決めて走り回り、チームを盛り上げる。しかし最後はサンバーズの攻撃を切り返されてセットを奪われ、追い込まれた。
しかしサンバーズは諦めない。大宅は、「(勇退する)鈴木さん、岡本さんがもしかしたら最後になるかもしれない今日の1戦で、相手に先に2セットを取られても、2人がすごく笑顔で声をかけてくれたので、『この人たちに勝ってもらいたい』という気持ちで、4セット目からはバレーができた。自分にモチベーションを与えてくれた2人のために今日は戦いました」と振り返る。
第4セットは、サンバーズのスパイクを粘り強く拾われ2-4と先行されるが、大宅が気迫のブロックを決めて4-4と追いつく。さらに、栗山がノータッチエースを決めて逆転すると、その後パナソニックのミスや小野のブロックで4連続得点とし10-6とリードした。追い上げられても、ムセルスキーや米山のスパイクで流れを取り戻し、ムセルスキーの好守備がそのまま相手コートに落ちて15-11と再び点差を広げた。その後も大宅のサーブで崩し、ムセルスキーが巧みにスパイクを決めて19-12と引き離す。終盤には、途中から入った喜入の巧みなフェイントやムセルスキーのスパイクなどで得点を重ねてセットを奪い、試合をフルセットに持ち込んだ。
第5セットは、スタートから入った喜入が、パナソニックの強力なサーブも正確にセッターに返し、小野や鈴木のクイックでサイドアウトを重ねる。すると中盤、栗山のサーブでプレッシャーをかけてミスを誘い10-8とリード。リリーフサーバーとして入った秦も好守備を見せて流れを渡さない。すると終盤、喜入が鋭いジャンプサーブを打ち込み、鈴木のブロックで仕留めて14-11とマッチポイントを握った。最後も喜入のサーブで崩し、ダイレクトボールを栗山がたたき込んで15-11でゲームセット。サンバーズがフルセットの激戦をものにし、2ポイントを獲得した。
この日は、好調だったムセルスキーが両チーム最多の39得点をたたき出した。また、途中からコートに入った喜入が見事に流れを変えた。サンバーズに入ってアウトサイドからリベロに転向したが、この日はアウトサイドとしてプレーし、サーブレシーブやディグを安定させただけでなく、前衛でスパイクも決め、「スパイカーとしては小さいけど、技術は一番」と荻野監督が評価する巧さを見せた。第5セットはスタートから起用され、最後はサーブで勝利を引き寄せた。
「サーブレシーブについては、これからリベロとしてやっていくためにも、自分が入るからには、僕のほうにボールが飛んできても、見ている人が安心するような雰囲気を作れればと思ってコートに入りました。久々にスパイカーの役目を任されましたが、まだまだ打てるぞというのも見せようと。最初2セット目にパイプを1本打った時、会場がワーッと沸くのを感じて、『おー気持ちいいなー!』と思いましたね」
今リーグ限りで勇退する鈴木は、この試合が最後になるかもしれないと覚悟して臨んだ。「負けたら終わるとか、怖がっていてもしょうがないので、僕は楽しむつもりでやりましたし、終わっても後悔ないようなプレーや声かけを意識した。楽しめたことが一番よかったと思います」と試合後、清々しい表情で語った。
鈴木が「サーブが機能したチームがセットを取った試合だった」と振り返ったように、この日は互いにサーブで攻め合い、サンバーズは6本のエースを奪われながらも、逆に10本のエースを奪い返した。
「強い相手に、全員でサーブで攻めて効果を出して勝ち切れた。自信になるいい試合だった」と鈴木は言う。
大宅も、「絶対に取りたかった3ポイントには届かなかったですが、勝ち切れたことはこれからのサンバーズにとって絶対に自信になる」と前を向いた。
試合後の時点ではファイナル3進出の可能性を残していたが、翌日(24日)JT、東レが勝利してポイントでサンバーズを上回り、サンバーズはファイナル6の4位が決定。ファイナル3進出は果たせなかった。
ただ、最終戦の勝利は、勝負どころの試合に勝てず苦しんだサンバーズが、自らの手でつかんだ大きな勝利だ。
重要な局面でいかに力を発揮するか。その課題克服は来季に持ち越されたが、その糸口をつかめた試合となったことは間違いない。