令和6年度天皇杯・皇后杯 全日本選手権大会 ファイナルラウンド 12月14日(土) 準々決勝
- 開催日時
- 2024年12月14日(土) 10:00
- 会場
- Asueアリーナ大阪
3
- 25-22
- 25-19
- 25-16
WIN
0
試合経過
天皇杯全日本バレーボール選手権大会準々決勝。サンバーズはジェイテクトSTINGS愛知と対戦した。STINGS愛知は現在SVリーグで首位に立つチーム。大会2戦目にしてサンバーズは早くも山場を迎えた。
第1セットの立ち上がり、アラインの正確なサーブレシーブから、セッターの大宅は小野寺のBクイックを選択。相手に拾われるが、2本目のトスもBクイックに上げ、小野寺はブロックの上から力強く叩き込み、最初の得点を奪った。その1点には大宅のこだわりがあった。「先週までのリーグの2週間は(小野寺との)コンビがあまり合っていなくて、決定率も上がらなかったので、今週は練習でかなり合わせてきた。それを最初に試すというか、自信はあったので、そこを使っていきました」前週の試合後に小野寺もコンビを課題に挙げており、今大会に向けては自主練習を行い2人で修正を図ってきた。
小野寺は「僕は(助走で)入りすぎていた分、コース幅が狭くなったり、トスが少しネットから離れた時に体が倒れたり、見える範囲が狭くなっていたので、ネットとの距離を少し離すことを意識した」。大宅は「トスが少し速くなりすぎていたので、打ち分けができるように、少しゆっくり目のトスを心がけた」という互いの調整が噛み合った。
サンバーズの生命線の復活で好スタートを切ると、ムセルスキーのサーブで崩し、小野寺のブロックで仕留めて先行。鬼木の好ブロックでチャンスを作り、ムセルスキーのスパイクで切り返すなど、連続ブレイクで7-3とリードした。髙橋藍も巧みなショートサーブで崩し、自ら強烈なパイプ攻撃を叩き込みリードを広げる。中盤には鬼木がコートエンドにノータッチエースを決めて11-5と引き離し、大宅が機転を効かせたツー攻撃でラリーものにする。
ところがスパイクミスが出て流れが変わる。サーブに押され、サンバーズの攻撃をSTINGS愛知の堅い守備に拾われ、次々に切り返されて7連続失点し14-15と一気に逆転された。だが鬼木に代わって入った柏田がこの日もチームを救う。サーブで揺さぶり、ムセルスキーのスパイク、ブロックで連続ブレイクし19-17と再びリード。終盤、好守備から髙橋藍の巧みなフェイントでブレイクして点差を広げ、激戦となった第1セットを先取した。
第2セットは先行されるが、髙橋藍のスパイクや柏田の勢いのあるクイックで流れに乗り、柏田がSTINGS愛知のオポジット・宮浦健人をブロックし5-4と逆転した。その柏田のサーブから、ムセルスキーのスパイクでブレイクし7-5と抜け出すと、中盤はアラインの冷静なフェイントや髙橋藍の豪快なパイプ攻撃で流れを渡さず、アラインがコートの角にノータッチエースを決めて11-7と引き離す。相手の強力なスパイクも、髙橋藍が好守備で拾い、自らスパイクで得点に繋げるなど、サンバーズはブロックとディフェンスが機能し中盤も流れを渡さない。
STINGS愛知の強力なジャンプサーブに狙われながらもアラインがしっかりと耐え、たとえサーブレシーブが崩れても、正確なつなぎとスパイクでカバーし、サイドアウトを重ねていく。終盤にはアラインが巧みなショートサーブで得点に繋げたり、ムセルスキーのブロックで21-15と引き離す。1点1点、集中力を持って精度の高いプレーを続けたサンバーズがセットを連取した。
第3セットもサンバーズは攻め手を緩めない。ムセルスキーのサービスエースで2-0と先行すると、堅いブロックと守備からムセルスキーや小野寺が切り返し6-1と引き離す。大宅の巧みなツーアタックや髙橋藍のフェイントでクレバーにサイドアウトを重ねると、柏田が粘り強く手を残してブロックを決め9-3とリードを広げた。中盤には、ムセルスキーや藤中颯などの好守備で粘りに粘ったラリーをアラインのスパイクでものにしたり、髙橋藍が鮮やかに背面フェイントを決め、さらに勢いを増す。髙橋藍がSTINGS愛知のトリー・デファルコのスパイクをシャットアウトして点差を広げ、ゲームセット。
リーグ首位の強敵をセットカウント3-0で下し、準決勝に進出した。
「サーブの差で今日は勝てたのかなと思う」と大宅が語ったように、ショートサーブを効果的に絡めて緩急をつけたサーブで揺さぶり、ブロックとディグも機能して強力な相手攻撃陣を乗せなかった。
逆にSTINGS愛知の強力なサーブを、サンバーズのサーブレシーブ陣は我慢強くしのいだ。
髙橋藍は「非常に耐えたと思います。AJ(アライン)もデファルコ選手のサーブに対してしっかり耐えていた。(レシーバー同士の)いい関係性が作れてきていると思いますし、サーブを打たれる前に、どこを意識しようと声をかけたり常にコミュニケーションを取っているので、それが今日はハマった」と手応えを語った。
その髙橋藍は攻撃面でも、巧みにフェイントを織り交ぜながら得点を重ねた。
「かなり(STINGS愛知は)ディフェンスのいいチームですし、自分のデータをしっかり取ってきていると1セット目に感じたので、その裏をつくというか、冷静にブロックを見て空いているところにボールを落としていく、そういう戦い方も非常に重要。ただ打つだけじゃなく、ああいうフェイントも使って得点を取るということは意識していました」
セッターの大宅も「今日はAJも決まっていたし、藍もしっかり相手の嫌なところに落としてくれていた。ミドルの本数は試合を通してもう少し増やせると思いますが、いい配分で回せていたかなと思います」とうなづいた。
大宅が「トーナメントの戦い方は、またリーグとは違う。一発勝負の怖さは僕らも経験していますから」と語る通り、リーグで首位に立っているSTINGS愛知を相手に、サンバーズは試合を通して高い集中力を発揮し、個々がクレバーに各自の役割を果たした。
だが髙橋藍は「この山場でジェイテクトに勝ったことは非常に大きいことですが、明日も勝たないと意味がない。ここで勝ったからこそ、明日またさらにギアを上げていく。集中力を切らさずに、しっかりと自分たちのバレーを前面に出していきたい」と気を引き締めた。
準決勝の相手は、現在SVリーグで3位につけるウルフドッグス名古屋。上位チームとの、一戦必勝の戦いが続く。