自動販売機の横のボックスにまつわる誤解をマシンガンズ滝沢さんが解説!
毎年10月20日は「リサイクルの日」。10(ひと回り)、20(ふた回り)の語呂合わせから、1990年に日本リサイクルネットワーク会議によって制定されました。また毎年10月は、経済産業省などによって定められた「リデュース・リユース・リサイクル推進月間(略称:3R推進月間)」でもあり、3R推進に対する理解と協力を求めるためのさまざまなイベントが広く開催されています。
世間のリサイクルへの関心や理解は高まっていますが、ペットボトルリサイクルに関しては、まだまだ誤解されていることが少なくありません。そこで、この記事では、ゴミ清掃員としても活動するお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんにご協力いただき、ペットボトルリサイクルにおいてよくある誤解や疑問を解説していただきます。マンガは、滝沢さんのTwitterや書籍などでもマンガ制作を担当されている奥様の友紀さんに制作していただきました。

自動販売機の横のボックスはゴミ箱じゃない!
自動販売機の横のボックスは、飲み終わった後のペットボトル、缶、瓶だけを、「ゴミ」としてではなく、リサイクルするための「資源」として集めることを目的に設置された、空き容器専用の回収ボックス(リサイクルボックス)です。しかし、このボックスをゴミ箱と誤解した人が、回収対象外のゴミを捨ててしまっていることがあります。
実際、(一社)全国清涼飲料連合会が2020年に実施した「リサイクルボックスに関する消費者意識調査」によると、42.4%がリサイクルボックスだと知りませんでした。また、「普段、街中でペットボトルや缶以外のゴミが出た場合、どこに捨てることが多い?」という問いに対し、52.9%が「自動販売機の横にあるボックス」と答えています。
リサイクルボックスへの異物(ペットボトル、缶、瓶以外)の混入は、“再商品化の品質劣化”に繋がり、リサイクルの妨げとなります。加えて、限られたスペースに本来入るべき空き容器が入りきらなくなることもあるので、ボックスから溢れて周囲が汚れたり、異臭を引き起こしたりすることで、設置場所の近隣からの苦情にも繋がり、ボックス撤去の原因にもなるのです。
ちなみに、回収された空き容器は、リサイクル工場でペットボトル・缶・瓶と、それ以外の異物に”手作業”で分けられています。異物にはペットボトル以外のプラスチック容器や、タバコの箱などの可燃ゴミ、たまにスプレー缶が出てくることも。僕は、ペットボトルリサイクル工場で、家庭ゴミから出たペットボトルの異物分別作業をしたことがありますが、何トンもの空き容器から異物を手作業で分別するのは本当に大変なんです。
この誤解・疑問をマンガでわかりやすく解説!


自動販売機の横のボックス、投入口だけ分かれているのはなぜ?
自動販売機の横にあるリサイクルボックスは、投入口がペットボトルと缶・瓶で分かれているけど、中では一緒になっているのだから分ける意味がないのでは?と疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ボックスの投入口が分けられている理由は大きく分けて2つあって、1つは「ポイ捨て防止」です。中で仕切ることで片方だけが満杯になってポイ捨てを招くより、できるだけ多くの空き容器を回収することを優先しています。だから、あえて仕切りを設けていないのです。
もう1つは「分別に対する意識を高める」ためです。先ほども述べたように、リサイクルボックスをゴミ箱と誤解して、回収対象外のゴミが捨てられてしまうことがよくあります。その誤解をなくすため、ペットボトルと缶、瓶を回収するボックスだということを意識してもらい、それ以外のゴミを捨てられないようにしています。
ちなみに、リサイクルボックスに入りきらなかったペットボトルや缶、瓶を、「一緒に回収してくれるだろう」と、ボックスの横に置いて帰った経験はないですか?それはポイ捨てと同じです。その空き容器が風などで吹き飛ばされて道に転がったり、そのまま川や海に流れていったりすることがあるので、絶対にやめてくださいね。
この誤解・疑問をマンガでわかりやすく解説!



ペットボトルをペットボトルにリサイクルすると何が良いの?
リサイクルボックスなどで集められたペットボトルの約8割強は、衣類に使用される繊維など別の製品に生まれ変わったりしています。(2018年度調査 ※)
ですが、衣類など別の製品になると、その製品がゴミになった後、再び回収して資源にするのがすごく難しい。そこで、僕が積極的に呼びかけているのが、何度も同じ製品から同じ製品に生まれ変わらせる「水平リサイクル」です。ペットボトルをペットボトルにリサイクルすれば半永久的にリサイクルでき、ゴミを減らすことができます。
ペットボトルをペットボトルに生まれ変わらせるために重要なことは、ペットボトルをできるだけきれいな状態で回収することなのですが、ふだん家庭ゴミを回収していても、ペットボトルの中に別のゴミが入った状態で捨てられていることがよくあるのです。多いのはタバコの吸殻が入ったペットボトルで、飲み残されたペットボトルも少なくありません。このように汚れてしまったペットボトルは、再びペットボトルに生まれ変わらせることが難しくなります。
外出時にペットボトルを捨てる時は、キャップをはずして、最後まで飲みきってからリサイクルボックスに入れるようにしてください。キャップ下のリングは外さなくても大丈夫ですよ。
この誤解・疑問をマンガでわかりやすく解説!


皆さんの協力なしにペットボトルリサイクルはできない
いかがでしたか?「誤解していた」「疑問に思っていた」という人は意外と多いのではないでしょうか。
僕は、日本のゴミを少なくしたい、という思いで活動しています。ゴミを少なくするための取り組みとして「3R(Reduce=リデュース・使う量を減らす/Reuse=リユース・繰り返し使う/Recycle=リサイクル・再資源化して使う)」という言葉がありますが、僕は「4R」にしたいと広めています。4つ目はRespect=リスペクト/敬意です。商品にはなんでも、つくる人たちの思いやこだわり、苦労が込められています。そして、皆さんがゴミを出した後にも人が関わっています。その人たちへの、そして物へのリスペクトがあれば、大切に使う、分別をきちんとするという行動に繋がるのではないかと思います。
ペットボトルは、何度でも生まれ変わることができる優秀な「資源(リサイクル素材)」です。ペットボトルを再びペットボトルにリサイクルするためには、皆さんの協力が欠かせません。この記事を読んだ皆さんには、リサイクルボックスは、対象の容器だけを入れるという正しい使い方をしてほしいと思います。空き容器は、ボックスに入れることができなくても、その場に置いたり、ポイ捨てしたりせず家に持ち帰るなどして、リサイクルに貢献してほしいですね。みんなで「ゴミ」をなくしていきましょう!
ペットボトルの「水平リサイクル」の取り組み
サントリーでは、3R(Reduce・Reuse・Recycle)の考えのもと、お客様の使いやすさも考慮しながら環境に配慮した容器包装を開発しています。
ペットボトル容器に関しては、サントリー独自の「2R+B」(※1)戦略に基づき取り組んでいます。Reduce(使う量を減らす)、Recycle(再資源化して使う)、Bio(植物由来の資源を使う)を表す「2R+B」を掲げ、国産最軽量キャップ(※2)、国産最薄ラベル(※2)、国産最軽量ペットボトル(※3)を実現しています。
また、日本で初めてペットボトルをペットボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル(BtoB)メカニカルリサイクルシステム」を協栄産業(株)と共同で開発し、リサイクルペットボトルを積極的に使用しています。
2019年には「プラスチック基本方針」を策定し、「2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルの素材をリサイクル素材と植物由来素材に100%切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロにする」ことで、100%サステナブル化を目指しています。
サントリーは、これからもお客様のユーザビリティとサステナビリティを両立しつつ、ペットボトルの「水平リサイクル」をさらに推進していきます。
環境に配慮した包材開発の主な取り組み(国内)
2011年5月 | 【日本初】「ボトルtoボトル(BtoB)メカニカルリサイクルシステム」を協栄産業(株)と共同で開発 |
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2014年4月 | 再生PET樹脂80%使用、国産最薄(※2)のラベル開発・導入 |
2016年9月 | 飲料用ペットボトルに植物由来原料を30%使用した国産最軽量(※2)となるキャップを導入 |
2019年2月 | 【世界初】「サントリー天然水〈阿蘇〉」に、植物由来原料を100%使用したキャップを導入 |

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※12R+Bは登録商標です
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※230φペットボトル対象。2020年4月時点
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※3国産ミネラルウォーターペットボトル(500ml?600ml)対象。2020年4月時点
滝沢秀一さん プロフィール

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなどコンビとしての実績をあげている中、2012年、妻の妊娠を機に、ごみ収集会社で働きはじめる。ごみ収集の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。2018年、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)を上梓したあと、漫画『ゴミ清掃員の日常」(講談社)、『ごみ育』(太田出版)などを出版。2020年10月、環境省『サステナビリティ広報大使』に就任。同12月、消費者庁『食品ロス削減推進大賞』の委員長賞を受賞。
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