あらゆる人々が笑顔で一体感を感じられる、手話から生まれた「サントリーサイン」
サントリーグループでは、手話をベースに会社名を表す「サントリーサイン」を新たに作成しました。このサインは、一人の耳の聞こえない社員の思いをきっかけに考案されました。性別、国籍、言語、文化、ハンディキャップの違いを超えてさまざまな人々に知っていただき、一体感を感じてもらいたい。「サントリーサイン」の発案者であるサントリーホールディングス(株)お客様志向経営推進部 森下利来彩が、「サントリーサイン」に込めた思いをお伝えします。

“ONE SUNTORY”を体現する「サントリーサイン」
2025年、サントリーグループでは、手話をベースにサントリーの社名を表す「サントリーサイン」を作成しました。私は幼少期から耳が聞こえなく、大学から手話を覚えました。手話の世界では名前や社名を表すサインネーム(手話によるあだ名)というものがあります。サントリーのサインネームは定まっていなく、これまでは一文字ずつ表す指文字で表現していました。大好きな自分の会社のサインネームをつくりたい、つくるなら企業として正式につくり、多くの方に知って使ってもらいたいと入社当時から思っていました。それを行動に移すきっかけとなったのは、上司との面談時の会話です。思い切って「手話をベースとしたサントリーの社名を表すサインをつくってみたい」と話したところ、上司が「ぜひ、やってみよう」と背中を押してくれて実現したのが「サントリーサイン」です。

ろう者というアイデンティティをもつ森下さん。補聴器やスマートフォンの音声認識も活用しながら理解し、口話や手話で受け答えされます。聴覚のハンディキャップはお一人おひとり多様です。
上司に提案した同じタイミングで、サントリーがプラチナムパートナーを務める大阪・関西万博に向けた「万博Action!」という社内公募が2023年春に行われていました。サントリーとして万博を盛り上げ、レガシーに残る取り組みを募っていたので、そこに「サントリーサイン」のアイデアを応募したところ採択されました。上司や周囲のサポート、そして手話監修第一人者の江副悟史さん(株式会社エンタメロード代表)にも協力してもらいながら「サントリーサイン」が完成しました。これを経営陣が集まる会議でもプレゼンをしたところ、さらにグローバルで取り組むプロジェクトとしてスタートさせようという展開を見せました。

社員たちの前でサントリーサインに込めた思いを熱く伝える様子。
サントリーには「やってみなはれ」という、チャレンジを応援する企業文化が根づいていますが、まさにその心意気で「サントリーサイン」の作成に挑みました。このサインは、耳の聞こえない人の言語である手話をベースに作成しましたが、実際にやってみるとハンディキャップの有無だけでなく、国籍や言語の壁も取り払ったグローバル企業としての一体感も生み出すことができます。サントリーらしさをサインに込めたことで、“ONE SUNTORY”が体現され、社員とのつながりをもっと深めるものとなったと思います。
「多様な人が共に生きる社会」が一人ひとりの笑顔に

完成したサントリーサイン。①の「生命(いのち)」を表す手話から②③で三本指を開きながら流して、そして最後に④で手の平を見せるように右顔へ持ち上げることで「生命の輝き」を表現しています。
「サントリーサイン」は、こぶしを左胸に置き、指三本を開きながらなびかせて、右顔の横にもってくる動作で表現します。このシンプルな一連の動きには、サントリーグループが目指している「人間の生命(いのち)の輝き」や大切にしている価値観である「利益三分主義※」、そしてコーポレートメッセージ「水と生きるSUNTORY」の「水」などの意味が込められています。
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※事業活動で得たものは、自社への再投資にとどまらず、お客様へのサービス、社会に還元したい」という考え
今回、「サントリーサイン」が実現した背景として、時代の変化も大きいと思っています。私が入社した2012年は、サントリーでもダイバーシティ経営に取り組み始めたばかりでした。それから10年以上かけてサントリー、そして世の中には多様な人がいることへの理解を深め、共生することへの意識が高まってきました。このダイバーシティの浸透が、「サントリーサイン」の実現を大きく後押ししてくれたという気がします。耳が聞こえる人も聞こえない人も、そしてあらゆる人たちがこのサインを通して、気軽にコミュニケーションを取れたり、共感しあえたりする──それが一人ひとりを笑顔にするきっかけになればうれしいですね。

見る角度によって絵柄が変わるレンチキュラーステッカーを活用して、サントリーの各ブランド・スポーツチームのマスコットが「サントリーサイン」を送ってくれるコミュニケーションツールも作成しました。
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