- 人権
障がいのある社員が最も輝く会社を目指して
サントリーでは、2015年に知的障がいのある方の採用を開始し、2018年にコラボレイティブセンターという一つの部署を立ち上げ、ほかの社員と交じり合いながら、障がい者のある方の可能性を最大限拡げる活動をしています。サントリービジネスシステム(株) コラボレイティブセンター(記事作成時) 平岡典子が、その活動についてご紹介します。
コラボレイティブセンターとは
コラボレイティブセンター(以下、コラボセ)では、サントリーが掲げるダイバーシティ経営のもと、特別支援学校などを卒業した知的障がいのある社員38名(東京24名、大阪8名、東北2名、名古屋2名、広島2名)が全国のサントリーグループ28社から多岐に渡る業務を受託し、さまざまな事業に貢献しています。
立ち上げ当初は、サントリーグループ内3社から約10種の業務を受託することから始まった私たちですが、「やってみなはれ」精神で新しい業務にも失敗を恐れず意欲的に取り組んできました。今では、パソコン業務を中心に、メール室の運営、POPやレターの印刷や発送など、全国のサントリーグループ29社から350種を超えるまで業務を拡大しています。
障がいを持った子を授かったことで開かれた道
2007年、私が初めて授かった子はダウン症という障がいを持って生まれてきました。成長のゆっくりな我が子を育てるためには、仕事と家庭の両立に悩んだ時期もありましたが、家族の協力もあり、復帰する決断をしました。復帰してからは「私だからできることで会社や社会に貢献したい」という思いが日に日に強くなっていき、「知的障がい者の雇用」に携わりたいと考えるようになりました。
そして2015年、ある社内のプロジェクトに参加し、役員へ答申する機会を頂きました。
そこで「サントリーにとって、社会にとって、意義深い活動であること」「組織を活性化するエネルギーがあること」など、ストレートに想いをぶつけたことが一つのキッカケとなり、2016年に希望した障がい者雇用に携わることになりました。
一人ひとりが働くことを通じて、自己実現できるように
希望がかなった喜びもありましたが、実際に携わり始めてからは各メンバーのサポートや責任の重さに改めて大変だと思うこともありました。でも、コラボセメンバーたちが、どんなことにも一生懸命・イキイキと働くことができるよう、“一人ひとりの個性や強みを最大限理解するよう努めること”、そして“メンバーの可能性を信じ、さまざまな業務にチャレンジしてもらうこと”を大切にしながら、一人ひとりが働くことを通じて、“やってみなはれ”を実現できるよう、取り組んできました。
上の2点の写真は、「コラボる体験」と称してほかの部署の社員がコラボセの職場に来て、コラボセメンバーから業務を教わりながら、共に働く体験をする取り組みを撮影したものです。互いに積極的にコミュニケーションを取り、活気溢れる場となり、体験した社員にとって多くの気づきのある取り組みとなっています。現在も継続的に実施しており、これまでに500人を超える社員が参加しています。
年に一度の一大イベント「成果発表会」
年に1度、メンバーが一人ひとり「今年がんばったこと(私の“やってみなはれ”)」と「来年チャレンジしたいこと」を発表する成果発表会を開催しています。
2022年はサントリー社員、メンバーの卒業校の先生、保護者の皆さんなど、全国からWEBを含め約300名が参加。メンバーの一人ひとりが大勢の前で一生懸命発表する姿や、業務などでかかわった社員の皆さんからメンバーへ頂くメッセージには、私自身、涙を押さえられない場面がありました。
「皆さんの発表を聞くと、心が洗われます。業務への姿勢が真面目で、自分ももっとがんばらなければと思いました」
「何事にも一生懸命でひたむきで、モチベーション高くコミュニケーションも積極的に取っていることが本人からも、そのあとお話されていた社員の方々からも伝わってきました。何度もジーンとくる場面もあり、とても心温まる会でした」
「一つひとつの業務を丁寧に正確に行うこと、できるようになったら別のことに挑戦したい! という成長意欲や、誰かのためにがんばりたいという気持ちなど、仕事の原点を改めて思い出させていただきました。素晴らしい発表会でした」
などなど、参加した社員にとってもたくさんの気づきのある場となっていることがとてもうれしく思います。
今後は、どの職場にいても身近に障がいのあるメンバーがいる環境をつくるため、コラボセを全国に展開していき、メンバー一人ひとりが自分らしく活躍し続けるサポートを続けていきたいです。
そして、知的障がいのある方が多くの人と交じりあい、互いに影響を受けあいながら活躍することが当たり前となる社会づくりに貢献していきます。
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