サステナブルな水資源管理の国際認証「AWS認証」の取得

サントリーが日本で初めて取得した水の国際認証 Alliance for Water Stewardship(AWS)

サントリーグループは、2018年にサントリー天然水 奥大山ブナの森工場(鳥取県)にて日本で初めてとなるAWS国際認証を取得し、次いで2019年九州熊本工場(熊本県)、2021年サントリー天然水 南アルプス白州工場(山梨県)にて取得しました。また2023年には九州熊本工場で、認証レベルの中で最高位である「Platinum」認証を取得しました。
当社がAWS認証に取り組む意義について、説明します。

サントリーホールディングス(株) サステナビリティ経営推進本部 課長 瀬田玄通

サントリーホールディングス(株)
サステナビリティ経営推進本部 課長
瀬田玄通

なぜサントリーがAWSに取り組むのか?

サントリーは、いつの時代も商品やサービスを通じて生活者に新たな価値を提供し、生活文化を潤い豊かなものにしていくことが事業の根幹です。水は、サントリーがお客様に価値を提供し続けるために最も重要な原料であり、地域社会や生態系にとって欠くことのできない共有資源です。また、水は地域の気候や地理的条件に依存して循環するローカルな資源でもあります。海から蒸発した雲が雨となって降り注ぎ、河川水や地下水となって、より大きな河川や海に流れ出る一連の地理的な空間を「流域」といいます。私たちが商品を製造するために工場で汲み上げる水は、水循環という大きな流れのなかで流域内の河川や地下の帯水層などとつながっています。サントリーは、自らを自然界の水循環の一部であると位置づけ、健全な水循環を維持する取り組みであるウォーター・スチュワードシップを各工場流域で進めています。

流域における水の循環
流域における水の循環

ウォーター・スチュワードシップとは、工場など自社の敷地内だけでなく、流域全体の視点で行政や地域社会と連携して継続的に取り組む統合的な水資源管理を指します。環境的に持続可能な水の利用に加え、社会的・文化的に公平で、経済的にも有益な水の利用を流域全体で促進することを目指す取り組みです。サントリーは流域の健全な水循環に向けて「サントリーグループ『水理念』」を掲げ、「水循環を知る」「水を大切に使う」「水源を守る」「地域社会と共に取組む」の4つの柱に沿って取り組みを進めています。工場内での継続的な節水活動や取水・排水管理によって水を大切に使うことはもちろん、2003年には水科学研究所を設立し、科学的な水文調査により工場流域の水循環を知る取り組みを進めてきました。また同年に九州熊本工場にて水源を守るために開始した「天然水の森」活動は、2019年までに国内21ヵ所、約12,000haにエリアを拡大し、現在では国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養(かんよう)するという目標を達成。多様な分野の専門家や地域の皆さまのご協力を得ながら、50年、100年先のビジョンの実現に向け、流域の地下水を育む森づくりを続けています。さらに、天然水工場の流域を中心に「天然水の森」や地元の小学校において次世代環境教育「水育」を展開するとともに、行政や地域の皆さまと協力して、流域における地下水位など水資源のモニタリングを継続的に行っています。加えて、地域行政とは連携協定を締結し、水源涵養力の高い森林環境や水田湛水、地域活性化に向けた魅力発信などの取り組みを進めています。サントリーは、これら『水理念』に沿った統合的な水資源管理のマネジメントそのものを継続的に深化させるべく、2018年にウォーター・スチュワードシップの国際的に権威ある規格であるAWS認証を日本で初めて取得しました。

統合的な水資源管理
統合的な水資源管理

AWSとは?

AWSは、世界自然保護基金(WWF)やThe Nature Conservancy(TNC)等のNGOと企業が共同で設立した、水のサステナビリティをグローバルに推進するための機関です。AWS認証は、世界中の工場を対象とした持続可能な水利用に関する認証で、水の保全やスチュワードシップ(管理する責任)の推進を目的としています。

サントリー天然水 奥大山ブナの森工場、サントリー九州熊本工場、サントリー天然水 南アルプス白州工場での認証取得においては、「水理念」に沿った工場周辺流域における水収支の把握、科学的データに基づく水源涵養活動、工場での節水や水質管理の取り組み、流域内のステークホルダーとの連携や適切な情報公開が高く評価されました。

連携協定について

サントリーホールディングスは、AWSからの日本における水のサステナビリティ推進のリーダーシップを担う企業への就任の要望を受け、その主旨に賛同し、2021年にAWSアジア・パシフィック、2023年にAWS国際事務局と連携協定を締結。また、日本で初めて同機関のメンバーシップ企業となりました。
2021年8月に発行された「AWS国際規格日本語版」の監修を担うとともに、2022年4月「第4回アジア・太平洋水サミット」ではウォーター・スチュワードシップ・アジア・パシフィックと連携し、サントリー九州熊本工場のAWS認証取得や「冬水田んぼ」による水源涵養の事例紹介により、企業の水資源管理の重要性を啓発しました。さらに、2023年2月にWWFジャパンと「AWSジャパン・デー実行委員会」を立ち上げ、日本初の「AWS会議ー企業の流域における責任ある水資源管理」を開催し、多数の日本企業、中央省庁、地方自治体、大学、NGOが参加しました。今後は、ウォーター・スチュワードシップの浸透に向けたステークホルダーとのネットワークづくりをリードしていきます。

サントリーのAWS認証取得

2018年

<日本初>
サントリー天然水 奥大山ブナの森工場
AWS認証を取得

サントリー天然水 奥大山ブナの森工場

2019年

サントリー九州熊本工場
AWS認証を取得

サントリー九州熊本工場

2021年

<日本初>
「AWSアジア・パシフィック」と連携協定を締結
<日本初>
AWSメンバーシップ企業に参画

サントリー天然水 南アルプス白州工場
AWS認証を取得

サントリー天然水南アルプス白州工場

2023年

<日本初>
サントリー九州熊本工場
AWSプラチナ認証を取得
AWS国際事務局と連携協定を締結

Alliance for Water Stewardship (AWS)

今後さらにAWSの取り組みを加速させていきます。

AWS活動報告書 2023

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