適量は人それぞれ
生活習慣病のリスクを高める飲酒量
厚生労働省は、平成25年から開始された「健康日本21(第二次)」で、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上と定義しています。ただし、アルコールによる影響には個人差があり、また、その時の体調等によっても影響が変わり得ます。
純アルコール20gに相当する酒量
純アルコール量を計算してみよう
アルコール度数5%のビールと、度数40%のウイスキーでは同じコップ1杯でも摂取したアルコール量は全く異なります。
酒に含まれる純アルコール量を知っていれば、飲んだ酒の影響や分解時間などが推定でき、飲酒量のコントロールに役立ちます。
通常、純アルコール量は、グラム(g)で表わされ、アルコールの比重も考慮して以下の計算式で算出します。
お酒の量(ml) × アルコール度数/100 ×0.8(アルコールの比重)= 純アルコール量(g)
例えば、アルコール度数5%のビールロング缶1本(500ml)に含まれる純アルコール量は、
500ml × 5/100(=5%) × 0.8 =20gとなります。
正しいお酒の飲み方
美味しいお酒を楽しく飲んで、健康的な生活を送るには、この「正しいお酒の飲み方」=「適正飲酒」の知識を身につけ、実践することが何よりも大切です。
すきっ腹で飲まない
空腹時は胃がからっぽのため、お酒を飲むとあっという間にアルコールが吸収され、悪酔いの原因になります。また、胃壁を守るものがないため、強いお酒は胃の粘膜に直接ダメージを与えてしまいます。
ゆっくりと食事と一緒に
お酒を飲む人の中には、飲みながら食事を取らないという人もいます。でも、その飲み方では体をこわしてしまいます。お酒はおいしい食事とともに飲むことを習慣づけてください。そうすることで、飲み過ぎの予防にもなります。
休肝日を作る
毎日お酒を飲むと、肝臓に負担をかけてしまいます。胃や腸といった消化管の粘膜も荒れてきます。週に2日程度の休肝日を作り、肝臓を休ませましょう。
強いお酒は薄めて飲む
ウイスキーや焼酎など、アルコール度数の高いお酒は胃腸への刺激が強いうえに、血中アルコール濃度が早く上昇するので酔いが回りやすく、肝臓への負担も高まります。水などで薄めてゆっくり楽しみましょう。チェイサー(和らぎ水)は口の中をすっきりさせるとともに、アルコールによる胃への刺激を和らげる効果があります。
【適正飲酒の10か条】
- 正しいお酒の飲み方をわかりやすく、簡潔にまとめたものです。
- 談笑し楽しく飲むのが基本です
- 食べながら 適量範囲でゆっくりと
- 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
- つくろうよ 週に二日は休肝日
- やめようよ きりなく長い飲み続け
- 許さない 他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み
- アルコール 薬と一緒は危険です
- 飲まないで 妊娠中と授乳期は
- 飲酒後の運動・入浴 要注意
- 肝臓など 定期検査を忘れずに
しない させない 許さない 20歳未満飲酒・飲酒運転
- 出典:アルコール健康医学協会ホームページより
お酒と一緒に楽しみたい食べ物
肝臓に負担をかける脂っこいものは、中性脂肪を増やす原因にもなります。また、血圧を上げる塩分の強いものはなるべく避けて、たんぱく質を多く含んだ肉や魚、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含んだ野菜や穀物、果物などをバランス良く摂るように心がけましょう。
お酒を楽しむマナー
お酒には、大切なマナーがあります。
お酒は、みんなが同じように飲めるわけではありません。
日本人の約4割の人がアルコールの分解を行なうALDH2型の働きが弱く、約4%の人は全く働かず、お酒を飲めない人です。
例えば、50人で宴会をしたら、20人前後はお酒に弱い人、2人は全く飲めない人がいるということ。
まわりが自分と同じように飲めるという考えは捨て、それぞれが自分のペースで楽しくお酒を楽しみましょう。
そして、飲めない人のためにノンアルコールや清涼飲料を用意しておく気遣いも、忘れずに。
また、公共の場所で酔って暴言を吐いたり、他人にからむなどの迷惑行為は法律で禁じられています。
「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」
断りたいときは、断りましょう
とは言え、お酒の誘いは、なかなか断りにくいもの。
上手な断り方の例を、「断り名人」からマスターしましょう。
断るコツ
まずはじめに、飲めない理由を相手にはっきりと説明すると効果的です。遠慮したり、言葉があいまいだと、相手のペースにずるずると引き込まれてしまいます。そして相手が納得してくれたら、「また別の機会にお願いします」と明るく笑顔でフォローすることが大切です。
日頃の心得
- ・飲めない体質を日頃からアピールしておきましょう。
- ・飲めないのは生まれつきの体質です。さらりと断る勇気をもちましょう。
酒席に出席する場合
- ・ノンアルコール飲料を用意してもらいましょう。
- ・あえて幹事や会計を引き受ける手もあります。
【休肝日の断り技ポスター】
休肝日には、お酒のお誘いも上手に断る。それもお酒を楽しむ技の一つです。その技を、大相撲やフィギュアスケートの技にたとえて表現し、お酒のマナーを楽しく伝えました。
2020年は新たにラグビーが加わりました。
NEW! 2020年度版
「休肝日の断り技 トライ2020」
2018年度版
「休肝日のFANTASTIC! な断り技」
【2018年 新聞広告賞受賞
(一般社団法人 日本新聞協会主催)】
2014年度版 「休肝日の断り技四十八手」
【2014年 新聞広告賞受賞
(一般社団法人 日本新聞協会主催)】
定期健康診断のすすめ
定期的に健康診断を受けていますか? アルコールによる障害を出来るだけ早めに発見するため、定期的な健康診断の受診をお勧めします。
飲酒量の多い人が、健康診断の際に特に注意しておきたいのが、γ(ガンマ)-GTPの数値です。γ-GTPは、肝臓のなかにある酵素の一種で、この数値が高いと、肝臓に異常があることを示しています。一般的には、お酒を飲みすぎるとγ-GTPの値が上昇します。この数値が高くなったら、お酒を控えることをお勧めします。
なお、肝臓病や糖尿病、高血圧、肥満などは生活習慣病と呼ばれており、食生活や運動、睡眠などの生活習慣を改めることで、予防や改善が可能です。健康診断の結果を、ぜひ生活習慣の改善のために役立ててください。