お酒のはじまり
お酒の歴史はとても古く、その歴史は実に数千年を数えます。
最も歴史が古いのはワインとビール。
「液体のパン」とも呼ばれるビールは、紀元前4000年以上前、メソポタミアで人類が農耕生活をはじめた頃、放置してあった麦の粥に酵母が入り込み、自然に発酵したのが起源とされています。最古の記録としては、紀元前3000年頃にメソポタミアのシュメール人が残した粘土板に当時のビールのつくり方が描かれています。
ワインの起源も同じくメソポタミア地方で、初めて文献に登場したのは紀元前2000年頃。メソポタミアの英雄詩"ギルガメッシュ叙事詩"の中に、葡萄酒を飲ませた旨の記述があります。
日本でも、古事記・日本書紀・万葉集といった古い書物に、お酒の話が多く登場します。
日本人とお酒の関係
古来、お酒はさまざまな地域の文化や風土の中で育まれ、宗教儀式や祝事・慶事などで大きな役割を果たしてきました。
日本では米を中心とした穀物から酒が造られ、奈良時代には麹を使っての酒作り法が確立していました。神に供えることで豊かな収穫や無病息災を祈り、そのお酒を飲むことで厄を払う。お酒は神と人とを結びつける役割を担う、神聖なものでした。
奈良時代や平安時代は、祭礼や正月、慶事の際に集団で飲んでいた程度で、朝廷や武家、神人、僧といった一部特権階級の人たちが飲むものだったお酒は、鎌倉時代に入ると庶民にまで普及し、少人数あるいは個人でお酒を飲むことも一般的になりました。
江戸時代に入ると、流通網の広がりとともに、お酒は嗜好品として、武士や町民の間で日常的に楽しまれるようになりました。
また、ワイン・ビール・ウイスキー・ブランデーといった洋酒も、オランダやポルトガル、スペインの人々によって江戸時代前後に日本に上陸しました。
明治維新以降、ビール・洋酒・ワインといった外来の酒が欧米諸国の先進文化を体現する酒と認識され、豊かな生活の象徴、憧れとして飲まれるようになっていきました。