登美の丘ワイナリーでは、今年も山梨ヌーヴォー解禁に合わせて「新酒まつり2017」を11月3日(土)~5日(日)に開催致しました。最高の秋晴れの中、たくさんのお客様にご来場いただきました。
見晴らしのよいデッキに特設テントを設置して、今年の新酒をテイスティングしていただきました。お客様は皆「新酒」へまっしぐら。雄大な富士山を眺めながら、新酒ならではのフレッシュな味わいを楽しまれていました。
今年の新酒は3種類。白は甲州、赤とロゼはマスカット・ベーリーAです。昨年はつくらなかった甘口の「にごりロゼ」はお客様のご要望にお応えして復活しました。味はもちろん、フォトジェニックなプリントボトルも好評です。
味わいを確かめた後は、早速お土産にとご購入くださる方が多数いらっしゃいました。家では是非お食事と合わせて召し上がっていただきたいです。
甲州新酒にはサンマの塩焼き、マスカット・ベーリーA新酒にはトマトソースのパスタ、にごりロゼ新酒には、ちょっとスパイシーなエビチリなどはいかがでしょう。
テイスティングカウンターも、この機会にと様々なワインのテイスティングをご希望のお客様で大変にぎわいました。
「新酒まつり」期間中は特別テイスティングもご用意しました。普段なかなか召し上がっていただけないオールド・ヴィンテージのワインです。ワイナリーの貯蔵庫から蔵出ししたこの2本は「シャトーリオン カベルネ・ソーヴィニヨン1976」と「シャトーリオン ノーブルドール1976」。皆様どんな香りや味なのかを、ゆっくりと確かめながらテイスティングされていました。 41年の歳月を経た深みのある味わいを、ご堪能いただけたことと思います。
最終日の11月5日(日)には、特別セミナー「登美の丘ワイナリー長が語る『登美 赤』の歴史」を開催。
登美の丘ワイナリーのフラッグシップワイン『登美』のバーティカルテイスティング(=垂直試飲・同じ銘柄のワインをヴィンテージを変えテイスティングすること)してただきながら、登美の丘ワイナリーのワインづくりの歴史を、所長の渡辺が自らご説明するという、大変内容の濃いセミナーでした。
お出しした『登美』は1990年、1997年、2005年、2012年です。
渡辺所長の話では、1990年頃は果実の完熟度を見ながらも種の完熟をまたずに収穫し、さらに強い抽出をした長期熟成タイプのワインづくりをしていたそうです。また当時はフランス・ボルドーのスタイルを目指しており、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率も高く、若いうちはかなりタンニンを強く感じるワインだったようです。そんな1990年の『登美』は、今テイスティングしてみると、27年の熟成を経て深い味わいになっていました。
1996年頃からは「日本の赤ワインの最高峰」をめざして、やわらかな味わいのスタイルへとシフト。その頃からぶどうの収穫は、果実はもとより種の完熟を見極めて行われるようになり、タンニンもしっかりありながらなめらかなスタイルとなりました。
非常にバランスが良くしなやかな1997年(フランスのコンクール、シタデルデュヴァンで赤ワインとして日本初の「金賞」を受賞)、やわらかさの中にややしっかりとした味わいも持つ2005年。
そして今年の日本ワインコンクールにおいて「欧州系・赤部門:金賞および部門最高賞」を受賞した2012年は、まだまだ若々しさがありますが、とても華やかでエレガントなワインです。
登美の丘ワイナリーのワインづくりの歴史とともに、『登美』のスタイルも変遷してきました。渡辺所長は「今こうして皆様と比較テイスティングできることは大変価値のあることです」と語っておりました。
今年の「新酒まつり」では、出来たての新酒のフレッシュな味わいやオールド・ヴィンテージの熟成した複雑で深い味わいなど、様々なワインをお楽しみいただきました。
日本の‘風土’と向き合い百年の研鑽を重ねた‘技術’を注ぎ込み、ぶどうづくり、ワインづくりに取り組んできた登美の丘ワイナリーだからこそ、語ることができ、ご提供できるワインがあります。
今後もこのようなイベントを通して、登美の丘ワイナリーのぶどうづくり、ワインづくりをもっと知って頂ければと思います。