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「響 JAPANESE HARMONY」は、今日3月10日に発売1周年を迎えます。ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中に届きはじめた「響」のハーモニー。日々、高みを目指して挑み続けるつくり手の想いとは?「響 JAPANESE HARMONY」の開発を手掛けた、サントリーの福與チーフブレンダーに話を聞きました。
「響 JAPANESE HARMONY」は、熟成年数を限定することなく多彩な原酒を繊細にブレンドした商品です。17年、21年、30年とラインナップをもつなかで、「響」らしい熟成感や上質感をより広く味わっていただきたいという想いで構想を練りました。まずは、原酒の熟成年数に限らず、「響」をつくるのに相応しい原酒を探します。貯蔵庫には約100万樽もの原酒がありますから、その探索は途方もないものです。結局、「響」らしさとは何なのか、ということにぶつかりました。
過去に例がないくらい試作を繰り返しましたね。気づいたら100を軽く超えていました。試行錯誤の中で分かったのは、「響」には華やかな香り立ちと熟成感が不可欠だということ。華やかさや芳醇さ、複雑さやバランス、豊かだけれども繊細でキレのある余韻・・・そうした「響」らしさは、熟成感がもたらすものです。「響 JAPANESE HARMONY」には年数表記がないとはいえ、酒齢の若い原酒ばかりを使うわけにはいきません。酒齢20年を越えるような原酒を含め、しっかりとした熟成期間を経た多彩な原酒をブレンドしています。
「響 JAPANESE HARMONY」は、ラインナップのなかでもっともお求めいただきやすい価格の商品ですが、「響」の根源である華やかな香りと熟成感を味わっていただけるものに仕上がりました。まるで、「響17年」や「響21年」の華美な装飾をひとつひとつ削いでいったかのように、真の「響」らしさ、「響」の原点ともいえるものが残されたように感じます。
熟成感をもたらすのは、貯蔵の時間だけではありません。原酒の仕込みかた、樽の種類や使用歴、貯蔵庫内での置き場所など、さまざまなものが複雑に影響します。わたしたちブレンダーは、1日に200~300種以上の原酒をテイスティングし、「響」の香りや味わいを構成するのに相応しいものだけを厳選しています。
「響 JAPANESE HARMONY」の場合、華やかな香りや熟成感を担ってくれたのは、若くても円熟の域に達したようなグレーン原酒でした。とうもろこしなどの穀類を原料としたグレーン原酒は、蒸溜したときからシンプルでピュア。樽の影響を受けやすく熟成が早く進むので、条件が整えば、若くても十分な熟成感が得られます。そこに、複雑さや豊かさをもたらす数種のモルト原酒をあわせて。忘れてはならないのは、山崎蒸溜所の伝統・ミズナラ樽原酒です。酒齢の若いグレーン原酒と長期熟成モルト原酒の間をつなぐかのように働き、美しい調和を生み出してくれました。東洋的な香りが魅力のミズナラ樽原酒ですが、トップノートの華やかさよりむしろ、やさしく穏やかな余韻に充実感をもたらしています。
「響 JAPANESE HARMONY」発売以来、海外の方たちのご意見を伺うことが増えました。「響」の華やかな香味や繊細なブレンドを高く評価していただいていますし、日本人ならではの精神文化にも触れていただけているように思います。
『和をもって貴しとなす』
これは、聖徳太子が制定した十七条憲法の第一条に記された言葉ですが、じつは、ブレンドの奥義を伝えるものでもあるんです。ひとつの原酒は、人と同様、万能ではあり得ない。長所もあれば、短所もある。だからこそ、多様な個性をもつ原酒をかけ合わせ、互いの不足を補ってさらなる高みへと飛翔させよ。聖徳太子の言葉をブレンダー視点で解釈すれば、こうなります。「響 JAPANESE HARMONY」をつくるにあたっても、この教えは大きな手がかりとなりました。
春、夏、秋、冬。日本の四季を幾重にも重ねて育まれた多彩な原酒たち。
日々鍛錬を重ね、わずかな違いを見極め、繊細に合わせる人の技。
「響」が奏でるJAPANESE HARMONY は、つくり手たちの心、そのものです。
サントリースピリッツ株式会社 ブレンダー室長・チーフブレンダー
1961年生まれ。愛知県出身。84年にサントリー株式会社に入社。白州ディスティラリー(現在の白州蒸溜所)、ブレンダー室を経て、96年に渡英。ヘリオットワット大学(エジンバラ)駐在や、モリソンボウモア ディスティラーズ(グラスゴー)への出向勤務の後、02年帰国。03年に主席ブレンダーとなり、06年よりブレンダー室長を務め、09年にチーフブレンダーに就任。「響 JAPANESE HARMONY」をはじめ、数多くのサントリーウイスキーを手掛けている。
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