サントリー文化財団

menu

サントリー文化財団トップ > サントリー地域文化賞 > 地域別受賞者一覧 > 馬路村 柚子のふるさと村づくり

サントリー地域文化賞

活動詳細

四国

高知県 馬路村 2003年受賞

馬路村 柚子のふるさと村づくり
柚子の加工品づくりを核に、ふるさと馬路村を村ごと全国に売り込む

代表:上治 堂司 氏

2003年8月更新

活動紹介動画(01:50)
動画を観る
写真
特産品の柚子の収穫

 馬路村は高知県中北部の中山間地に位置し、面積の96%が森林、内75%が国有林で、かつては林業立村であった。多い時には3,500人ほどいた人口も、国有林事業の撤退が過疎化に拍車をかけ、現在では1,200人余りに減少している。

 1965年頃から、農家の安定収入のために、昔から村で実をつけていた柚子の栽培研究を開始したところ、千メートル級の山の中腹にも柚子畑が作られるようになったが、青果としての柚子玉栽培は過疎化・高齢化の進んだ農家には大変な作業であった。そこで、1975年頃から農協が中心になり、見栄えを気にしなくていい加工品の生産・販売を始め、次々とゆず加工品を開発。現在では、25種類以上の商品アイテムにも生産を拡大し、年商は30億円に迫る勢いである。

 しかし、最初から順調だったわけではなく、当初は全国各地での物産展などに年間80日以上も参加したり、県内のホテルや土産物店などでの取り扱いといった営業を展開するが売上は低迷。1週間の催事で売上が5万円、経費が25万円ということもあった。苦悩の日々が続くなか、1981年より全国に向けた産地直送の通信販売事業に手探りで取り組み始める。

 転機は1988年に訪れた。ぽん酢しょうゆ「ゆずの村」が「日本の101村展」で最優秀賞を受賞、また、子供も安心して飲め、すっきりとして爽やかな味を妥協することなく追い求めた結果、長年の試行錯誤の末に完成した無添加のはちみつ入りゆず飲料「ごっくん馬路村」が大ヒット。商品だけではなく「馬路村の田舎・自然そのものを売り出す」販売戦略で、ゆずの加工・通信販売事業が飛躍的に発展し始める。「馬路村公認飲料」と銘打って売り出された「ごっくん馬路村」のラベルには、「ふるさとを想う時、自然が足りない時、よーく振って一気にごっくんと飲んでください。馬路村が体じゅうに広がります。」と書かれている。

 「馬路村そのものを売り出す」戦略は徹底している。農協のポスターを始め村役場のパンフレットなど数多くの村の印刷物には、大自然をバックに、裸の腕白小僧から普段着のままのお年寄りまで、世代を超えた多くの村民が登場し、写真やイラスト・文字などのデザインタッチも統一され、村民一丸となって村のPRに努めている。人口1,200人余りの村が、村をPRする県内向けのテレビCMや全国向けのラジオCMを流したこともある。

 2000年からは「ゆずの森構想」を実現すべく、旧営林署施設の改築・利用も行い、生産・交流・飲食・宿泊施設などを完備したミニ・テーマパーク施設を完成させる予定。それにより、雇用創出による若者の村への回帰(結婚→出産→人口増)と、村外の人々が一人でも多く村を訪れることを期待している。

サントリー文化財団